どう考えても日本相撲協会北の湖理事長の処置は言論弾圧だと思う。
「北の湖理事長」の処置とは、連日報道されている横綱・朝青龍に関する一連の報道でテレビ解説をした、元NHKアナウンサーで、「東京相撲記者クラブ友の会」に所属する杉山邦博氏の発言が協会批判にあたるとして相撲協会発行の取材証を返還(事実上の取材機会の剥奪)たという。

組織にとって都合のいい思想を持ち、組織寄りの発言するものだけを優遇していたら、第二次世界大戦時の「大本営発表」と同じで実質的に「意図的に操作された情報」になってしまう。
物事は立場によって多面的に捉えられるものであり、それが意図された情報としてある一面のみで捉えられて報道されては、我々は事実を正確に分析する事が出来ない。

当の杉山氏は取材証の返還要請に「残念」といいながらも応じたが、大相撲記者クラブは「言動の何が問題点なのかを明確にして欲しい」と抗議文を相撲協会に送った。
すると北の湖理事長は、
○8月中旬の朝の民放情報番組で「朝青龍への処分に対しては弁護士や識者を入れて決めるべきだ」というコメンテーターの発言に杉山氏がうなずいたのは相撲協会批判にあたる
○テレビ出演の際の肩書が「相撲評論家」「相撲ジャーナリスト」となっているが、こうした立場の人には(記者でないので)取材証を発行できない
と、返還させた理由を説明したという。

この2つの理由を聞く限り、「杉山氏が気に入らない・ムカツクための言いがかり」としか見えない。針小棒大に批判記事やテレビでコメントした訳ではない。
北の湖理事長は、相撲協会が開かれた組織でないことを自らの発言・処置で露呈させてしまったとは考えていないのであろうか。

それにしても、多くのスポーツ団体の中で役員が現役時代に選手をしていた人のみで構成されているのは相撲協会ぐらいだと思う。
プロ野球機構は官僚や検事出身者がトップをやっているし、サッカー協会は選手経験のある人が役員に多いが、必ずしも選手経験者のみで構成されているのではなく、サッカーチームのスポンサー企業で管理職をされていた方も役員に多い。
「相撲は国技だし、伝統を重んじるから昔からの慣習を伝承していけばいい」とうそぶく人もいるかもしれない。
しかし、財団法人として公益性がある組織である以上、組織が継続的に成長していくことは自明である。
「一連の朝青龍問題」をみていると朝青龍や高砂親方の対応のまずさ以外に「相撲協会の対応のまずさ」もかなり露呈している。
組織が健全に維持・発展していくためのガバナンスを含めたマネジメント能力を確保するためには、選手経験者の役職員の育成や選手経験者以外の役職員の採用・育成のシステムが必要ではないかと思う。
そうしないと、どんどん「協会の常識は世間の非常識」となっていきまともな組織としての統治能力も管理能力も成長も継続的な業務改善も期待できない。

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