拙著『「不祥事」を止めるISO思考』を出版して以来、「企業不祥事はISOで防げるんですかね?」という質問を受ける事が多い。
たいてい、この質問をしてくる人は言外に「ISOでなんか不祥事は防げない」という揶揄した意味を含んだ質問をしてきているように聞こえる。(私の被害妄想?)
これに対して私の回答は「う~ん、なんともいえないですね」とあいまいな回答をする。
これはいい加減な返事をしているわけではなくて正直な想いだ。
結論から言えば、
○過失的不祥事はISOマネジメントシステムやISO思考で防ぐ事ができる
○故意、確信犯的不祥事は発見を早めることやリスクを下げることはできても防ぐのは難しい
という考えだ。
不祥事の中でも法規制に関わるものを例に挙げて考えてみる。
過失的な法規制違反の場合は、その原因は、
1)業務に関連する法的要求事項等が取りまとめ切れていない
2)業務に関連する法的要求事項等を取りまとめる力量が不足している
3)法的要求事項等を順守する手順が規定されていない
4)法的要求事項等および順守する手順の教育が十分にされていない
5)業務に関連する法的要求事項の順守評価が十分にされていない
6)自社または他社の法的要求事項等の違反の事例を適確な再発防止、未然防止につなげられていない
7)法的要求事項等の違反が発生するリスクを読み取る力がなく、適確な対策が講じられていない
8)法的要求事項等に関する情報が十分に経営層に挙がっていても、適確な評価・支持能力がない
などが考えられる。
上記原因は、「仕組み」の問題なので理論上はISO等マネジメントシステムを機能させれば不祥事の発生を防ぐことができる。
例えば、不二家の賞味期限材料の使用や製品の出荷(食品衛生法、JAS法)は、製造部門が今までの慣例でモラルを無視したルールの不順守をしていても、仕組みが機能していれば出荷部門がチェックできただろう。
また、「廃棄物削減」という工場の環境方針や「売り上げの変動による在庫管理の難しさ」を経営層がデータから読み解いていれば、「賞味期限切れの材料を現場は使用するかもしれない」というリスクを未然に予測できただろう。
つまり、「仕組みの不備」や「経営層が真っ当な経営を望んでいる」ならば、内部監査や外部監査(認証審査)で問題点を指摘することは可能である。
しかし、「故意や確信犯的な不祥事」は防ぐのは難しい。
なぜならば、
1)組織が法的要求事項はわかっているが、設備投資を現状するわけにいかず、違反を承知で操業している
2)経営層自らモラルがなく、従業員に率先して法的要求事項違反を指示している
といったケースの場合、内部監査はもちろん、外部監査では巧妙に違反の事実は隠されているから見つからないし、仮に審査員が問題点(または可能性)を検出しても組織は無視し続けるだろう。
組織内部からは違反を通報した人の身分や安全が保障されるのであれば、内部告発があると思うが、外部監査の場合は、審査員は捜査権限や監督官庁に通報する権限がないからなおさら「怪しい」と思っても「怪しい」だけでは手が出せない。
そう考えていくと、
「故意、確信犯的不祥事」の有効的手立ては「内部通報制度」等内部告発の活用ということに依存せざるを得ないと思う。
マネジメントシステムは「企業の自主的な健全な経営の取組み」を補完・拡充する「モラルあってのもの」だからである。
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たいてい、この質問をしてくる人は言外に「ISOでなんか不祥事は防げない」という揶揄した意味を含んだ質問をしてきているように聞こえる。(私の被害妄想?)
これに対して私の回答は「う~ん、なんともいえないですね」とあいまいな回答をする。
これはいい加減な返事をしているわけではなくて正直な想いだ。
結論から言えば、
○過失的不祥事はISOマネジメントシステムやISO思考で防ぐ事ができる
○故意、確信犯的不祥事は発見を早めることやリスクを下げることはできても防ぐのは難しい
という考えだ。
不祥事の中でも法規制に関わるものを例に挙げて考えてみる。
過失的な法規制違反の場合は、その原因は、
1)業務に関連する法的要求事項等が取りまとめ切れていない
2)業務に関連する法的要求事項等を取りまとめる力量が不足している
3)法的要求事項等を順守する手順が規定されていない
4)法的要求事項等および順守する手順の教育が十分にされていない
5)業務に関連する法的要求事項の順守評価が十分にされていない
6)自社または他社の法的要求事項等の違反の事例を適確な再発防止、未然防止につなげられていない
7)法的要求事項等の違反が発生するリスクを読み取る力がなく、適確な対策が講じられていない
8)法的要求事項等に関する情報が十分に経営層に挙がっていても、適確な評価・支持能力がない
などが考えられる。
上記原因は、「仕組み」の問題なので理論上はISO等マネジメントシステムを機能させれば不祥事の発生を防ぐことができる。
例えば、不二家の賞味期限材料の使用や製品の出荷(食品衛生法、JAS法)は、製造部門が今までの慣例でモラルを無視したルールの不順守をしていても、仕組みが機能していれば出荷部門がチェックできただろう。
また、「廃棄物削減」という工場の環境方針や「売り上げの変動による在庫管理の難しさ」を経営層がデータから読み解いていれば、「賞味期限切れの材料を現場は使用するかもしれない」というリスクを未然に予測できただろう。
つまり、「仕組みの不備」や「経営層が真っ当な経営を望んでいる」ならば、内部監査や外部監査(認証審査)で問題点を指摘することは可能である。
しかし、「故意や確信犯的な不祥事」は防ぐのは難しい。
なぜならば、
1)組織が法的要求事項はわかっているが、設備投資を現状するわけにいかず、違反を承知で操業している
2)経営層自らモラルがなく、従業員に率先して法的要求事項違反を指示している
といったケースの場合、内部監査はもちろん、外部監査では巧妙に違反の事実は隠されているから見つからないし、仮に審査員が問題点(または可能性)を検出しても組織は無視し続けるだろう。
組織内部からは違反を通報した人の身分や安全が保障されるのであれば、内部告発があると思うが、外部監査の場合は、審査員は捜査権限や監督官庁に通報する権限がないからなおさら「怪しい」と思っても「怪しい」だけでは手が出せない。
そう考えていくと、
「故意、確信犯的不祥事」の有効的手立ては「内部通報制度」等内部告発の活用ということに依存せざるを得ないと思う。
マネジメントシステムは「企業の自主的な健全な経営の取組み」を補完・拡充する「モラルあってのもの」だからである。
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