環境省が音頭を取って家電製品にCO2(二酸化炭素)排出量が表示されるシステム作りがされるという。
要は、食品のカロリー表示のようにCO2排出量を「見える化」(注:本来の意味の“見える化”ではないので単に可視化と言った方が正確な表現であるが。)し、消費者が家電製品購入の際にCO2排出の少ない製品を選択できるようにし、地球温暖化防止につなげる、というのが趣旨である。

環境省が考えているのは、冷蔵庫やエアコン、照明器具などの家電製品に対して、メーカーの製造段階から消費者の使用段階、消費者使用後の廃棄段階においてどの製品がどの程度CO2を排出するか店頭で表示するシステムを計画している。

以前ブログで紹介したが、このような環境省が目指すシステムは家電大手5社がエアコン、冷蔵庫、電球・蛍光灯、照明器具の4品について製造から廃棄、リサイクルまでのCO2排出基準を統一する取組を打ち出している。環境省が音頭を取り「CO2排出量の可視化」を家電全体に広げていくという方向性は、家電製品全般についてCO2排出量と温暖化について消費者が関心を持ち、認識し、生活行動を変えていくきっかけにはなるだろう。

確かに、表面的にわかりやすい「家電の使用段階」だけ考えれば、例えば全国のオフィスビルの蛍光灯がすべて省エネ型に変わると年間1000万トン、各家庭が白熱灯1個を電球型蛍光灯に変えると280万トンのCO2が削減可能になるというから、「省エネ家電の使用」は電力使用量削減⇒温暖化対策と考えれば有効だ。
しかし、「家電製品毎の製造から廃棄、リサイクルまでのCO2排出量がほぼ正確に把握されて表示されるシステム」は可能なのだろうか、と思う。
なぜなら、ざっと考えただけでも
○メーカー・製品毎の開発ロス、生産ロス、流通ロス、販売ロス
○家電製品使用者の使用ロス(例:故障頻度)
○家電製品使用者の地域により廃棄からリサイクルまでの流通に掛かるエネルギー
○家電製品使用者の廃棄時期
などが異なる。
「異なる」ということは、おそらくCO2排出量を算出する際は上記をある条件設定でモデル化することになるのだろう。
少しわかりづらいが「モデル化」するということは、モデル化する人の思惑で条件やデータが設定(操作?)されやすい。

素人考えで恐縮だが、歴史や出来事を振り返れば「省エネ」「節約」「リサイクル」など理解しやすい「環境に優しい」を盲目的に信じて行動すると、逆に「環境に優しくない」結果を引き起こすことがある。
代表的なことは「容器包装リサイクル法」の制定後、容器の生産量は増大している。これは消費者が「分別・回収された容器包装は適切にリサイクルされている」「リサイクルされているからいくら使っても環境には優しい」と潜在的に思い込んでいるから他ならない。
例えは全然違うが、単価の安いレストランや100円ショップに行ったときに、必要以上にモノを購入してしまうのと似ているかもしれない。

「省エネ」「節約」は地球環境を考える上で大切な認識であるが、「盲目的な思い込み」は危険だということも脳裏に刻んでおかないといけない。

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