この8月は内部監査員(マネジメントシステム)の養成研修依頼の仕事がたまたま重なった。
合計約10日ある。
内部監査員研修の中身は通常大きく分けて「監査基準である規格、社内規定、関連法規の教育」と「監査目的と監査技法の教育」がある。
私が依頼されて担当することになったのは主に後者の「監査目的と監査技法」の方である。

日本人が「監査」と言う言葉に対する一般的イメージとしては「監査は厳格に記録や文書をチェックされるもの」「監査では重箱の隅を突かれるだろうから痛くも痒くも無い腹を探られたくない」「ルールに従っていない仕事をどうやって監査から隠蔽しよう」「業務の適切性を証明してくれるもの」「監査は一部の監査担当者が監査員と対処すればいいもので自分たちには縁遠いもの」・・・といったようなものが多いのではないだろうか。
つまり仕事としての責任が直接ある監査担当部門以外は「積極的に監査を受けたいと思っている人は少ない」ものである。

外部監査(第三者監査)の監査員の立場で考えると、少なくともISO(マネジメントシステム)の外部監査の場合、「まともな監査員」の監査に対する認識と受審側の大方の監査に対するこの認識との間にはかなりのズレがある。
「まともなISO監査員」は「ISO規格を導入している組織が継続的に仕事の仕組み(マネジメントシステム)を改善してマネジメントシステムの適合性を永続的に担保できる体制を築いていって欲しい」と受審組織に対して思っている。
つまり「受審者に監査を通じて気づきを得て、少しずつでもいいからISOを導入していて良かった、という実感を持ってもらい、お客様に信頼される組織になって欲しい」と願っている。
しかし冒頭で述べたように受審する側の認識はまったくそうではない。

したがって、内部監査員養成研修をあたって受講生に最初に伝えたい概念は「監査は基本的に取り締まり目的で実施するものではない」「監査を通じてお互いが気づきを得て、相互理解し、仕事の仕組みが改善していく事が可能な双方にとって前向きな場である」という認識である。
この認識を内部監査員が少なくとも持っていない限り審査は「規定されているルールを守って実施しているか」という「記録のチェック」に主眼が置かれた監査になってしまう。

「内部監査員」は立場を変えれば「受審側」にもなる。
つまり「監査に対する正しい認識を持った内部監査員を養成することは、監査に対する正しい認識を持った受審者を増やすことになり、将来的には組織全体が監査に対して正しい認識を持つ事が出来るようになる」と思う。
そのような理由で、私が内部監査員養成研修で真っ先に伝えたい概念は、
○監査は、結果重視ではなくプロセス重視である
○監査は、仕事の仕組みを継続的に改善していくために実施する監査側、被監査側双方にとって前向きな業務活動である
という点なのである。
(つづく)

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