その時、6月19日に天然ガスの爆発事故を起こした渋谷松涛温泉シエスパの事故原因について質問してみた。
シエスパ関連のニュース報道は営業再開の断念を決定してからほとんど話題に上がらなくなってしまったが、私の知る限りのニュース報道からは「温泉施設の設計は天然ガスの危険性を考慮した適切なものだったのか」と言う点についてはイマイチはっきりしないからだ。
ちなみに、シエスパの事故原因については「気づきブログ」7月8日号で「シエスパは営利主義オンリーといわれる体質だった」と題して以下のように考察している。
(引用ここから)
・・・経緯を眺めていくとポイントは、
H15年8月
温泉掘削会社がガス濃度の測定結果をユニマット社側に書面で通知
H16年10月
ユニマット社側と住民が工事の安全管理などに関する協定書を締結
H17年3月
温泉調査会社がガス濃度を測定。天然ガス滞留で大惨事になることを指摘
H17年4月
ユニマット社側と掘削会社などが住民にガス測定結果を公表。
開業後のガス検知器によるチェックを確約
H18年1月
施設メンテナンス会社(日立ビルシステム)がユニマット社側にガス検知器設置の必要性を要請
シエスパ開業
である。
このことよりこの施設運営の最大の問題は、
【ユニマット不動産は住民との約束を破って施設運営をしていた】
(開業後のガス検知器によるチェックをしていない)
という点であるということがわかる。・・・(以下略)
(引用ここまで)
上記の考察より『ユニマット社が住民との約束を破って施設運営をしていた』ことが温泉施設を運営する組織の体質として一番の問題であることは明らかである。
しかし、「組織体質は最悪」でも「温泉施設の設計段階で天然ガスの換気設備やガス濃度計の設置を図面に含めていれば爆発事故は防げた」とシロウト的に思っていた。
だから、その点について「その道のプロ」にお聞きしてみたかったのだ。
すると「温泉掘削会社の情報が温泉施設の設計会社に渡っていない」「温泉施設の設計会社は施設のデザインなど意匠面を重視した設計で安全面は考慮していないね」との答え。
「温泉掘削会社の情報が設計会社に適切に伝わっていれば、温泉法で施設運営時の天然ガス測定が法律で規定されていなくても『圧送式の換気設備』がこの施設に必要なことは設計屋の常識としてわかるはずだよ」と。
そう考えると疑問は「なぜ、温泉掘削会社の情報は設計会社に渡っていない」のだろうかと言う点である。
このプロセスの不備を究明し、改善しなければ、これから建設される他の温泉施設でも「設計時に考慮されていない不備」が発生するのではないかと思う。
※本文は「気づきメルマガ31号」のコラムを転載しています。
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