食肉偽装のミートホープ事件の陰に隠れてあまり大きなニュースになっていないが米穀卸会社「日本ライス」の偽装表示事件の内容を知るとその中身はかなりひどい。
この事件は、大阪府警が5月末に「不正競争防止法違反」で日本ライスの石座真佐美容社長ら7人を逮捕していたが、6月に「詐欺罪」も適用して再逮捕した。

逮捕容疑となった「不正競争防止法」と「刑法の詐欺罪」を紹介すると以下のような内容である。
「不正競争防止法」の「原産地等誤認惹起行為(第13号)」では「商品・役務(サービス)やその広告・取引用の書類・通信に、その商品の原産地・品質・内容・製造方法・用途・数量や、役務の質・内容・用途・数量について誤認させるような表示を使用したり、その表示をして役務を提供する行為」を禁止している。
一方「刑法の詐欺罪」では「他人を欺罔し錯誤に陥れさせ、財物を交付させるか、または、財産上不法の利益を得ることによって成立する犯罪」と規定されている。

日本ライスの場合はまず「原産地の誤認させるような表示を使用」していたとして摘発されたのだ。
この事件の概要は、
○原産地偽装は会社ぐるみで約10年前からあった
○4年前に石座社長が就任してからより偽装は悪質になった
○「まずい」「臭い」という小売店や消費者からの苦情に耳も貸さず、偽装を続けていた
○原産地偽装は「DNA鑑定しなければバレない」と高をくくっていた
○被害を受けた小売店は府流通対策室に通報したが販売元のライスワンしか調査されなかった
(販売されている袋に日本ライスの表示がないため)
である。
偽装の手口は、
1)古米、くず米を混ぜる
2)中国産を混ぜる
3)他ブランドを混ぜる
4)同品種の他府県産を混ぜる
という手法だったそうだ。
上記より「消費者をなめまくっている会社だった」と思う。
石座社長は「偽装は指示したが詐欺との感覚はなかった」と取調べで答えているそうだから「ある程度の他品種をブレンドし、その表示をしない産地偽装は業界の常識なの??」と勘ぐってしまう。

ちなみにJAS法(日本農林規格)では精米について、「産地」「品種」「収穫年」「使用割合」の4点を表示するよう義務付けていて、農水省は毎年、抜き打ち調査を実施している。昨年5月に発表した調査結果では、袋詰め精米610点のうち、110点(18%)で表示と異なる品種混入が見つかっているという。
業界的に、日本ライスに限った感覚ではないのかもしれない。

私は仕事で10社近くの精米・米穀卸会社の製造ラインに訪問したことがあるが、各社とも清掃不備などによる過失の品種混入がないように管理を徹底していた。
つまり過失による「品種混入」が約2割にもおよぶとは思えないから経営者や上司による「指示」がほとんどであろう。
自分が不法行為を指示する会社の社員だったらどうすればいいのだろう、と思ってしまう。

日本ライスの場合は、消費者である中華料理店の調理師より“ご飯の炊き加減が一定しない”というクレームから小売店が独自にDNA鑑定した結果であるが、ポイントは、
○会社から常態的な偽装指示をされていた社員や元社員からの情報
○消費者からの苦情情報
○卸売業者からの苦情情報
を入手した監督官庁の対応である。
日本ライスの場合は「大阪府の流通対策室」に小売店から情報が入っているのに「袋の表示が適正かどうかを調べるのが目的」として日本ライスに対しては詳細な調査を実施していない。
「官」が機能しなければこれらの情報は「犬死に」である。
「官」は「消費者の保護」「企業の違法行為の摘発」より「企業の育成・保護」の観点の方がいまだに強いのかもしれない。
その先には「天下り」など「持ちつ持たれつの関係」があるからだろう。
「官」と「民」の癒着を切ることがさまざまな「偽装問題」の鍵かもしれない。

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