東邦銀行仙台支店の行員が2003年7月から2007年6月までの間に顧客の預金など合計1億1974万円を着服して7/11付で懲戒解雇したと発表した。
着服したお金は取引先への個人的融資や生活費に充てていたそうだ。
この行員は着服しては穴埋めするという行為を繰り返していたため、実際の着服額は2714万円になるという。

この手のニュースは「銀行員が預金を着服したよくあるニュース」のひとつかもしれない。
ただ、
○合計約1億2千万円着服しているが穴埋めもしている
○4年もの間、着服はなぜ発覚しなかったのか
点が個人的には興味がある。
生活費はともかく、「取引先への個人的な融資のために着服してその殆どを回収」しているとしたら「銀行が定めている融資基準」は妥当なのだろうか?と思う。
銀行の融資基準はいまだに「不動産や有価証券」などの担保があるかどうかになっていて、
融資が必要な企業評価が適正に実施されず、貸し渋りが生じていたのではないかと思う。
また、「4年間も不正が発覚しなかった」ということは「4年未満に渡る不正は内部統制できていない」または「不正経理は4年単位で内部統制が効いている」と言えるのかもしれない。

内部統制を考える場合「問題が検出された」ということは「問題の検出が早いか遅いか」は別にして「内部統制」が効いているといえる。
内部統制が効いていない場合は、この行員のケースで言えば「個人的に融資した顧客からの問い合わせが銀行に入る」「税務調査で発覚する」など内部の通常のチェック機能以外の部分で問題が検出されるケースだ。

マネジメントシステムの審査では「マネジメントシステム(経営管理の仕組み)が継続的に改善されているかどうか」がポイントのひとつになる。
審査の考え方としては「目標など計画したことの未達」「規定した業務手順や法規制等の逸脱」「クレーム」「不良製品・サービスの発生」などが検出された後にどのような対応が取られたのかどうかをチェックして「継続的なマネジメントシステムの改善が図られているかどうか」と審査している。
つまり「組織の内部統制がきちんと機能していること」がまず最初のポイントになる。
逆に言えば、「内部統制がきちんと機能していない」と是正処置、予防処置、改善のトリガー(きっかけ)がない、と組織は認識してしまう。
つまり「ここのところ問題点や改善点は発生していないんですよね~」という受審企業の認識につながる。

もちろん、本当に「改善が必要な問題点や改善点が無かった」ケースもあるかもしれないが論理学的に「無いことの証明」は難しい。
マネジメントシステムの審査に限って言えば「組織で計画された事項や各業務、社内外からの情報を適切にチェックするシステムがあるかどうか」を、インタビューを含めてチェックして、その結果「問題点や改善点が無かった」ということなら、「問題が検出されなかった、あるいは、問題を検出仕組みが無いわけではなく本当に問題が無かったのだろう」と判断している。

「うちの組織ではここ最近、問題点や改善点、クレーム、要望は発生していません」という場合、「チェック機能(内部統制機能)が機能していない」のか「本当に問題点がないのか」を観て考察する視点が重要なのである。

【よかったらクリックお願いします♪】
ブログランキング・にほんブログ村へ
ブログランキングranQ
企業家ブログhttp://www.kigyoukablog.jp/ranki.cgi?id=35