事務所の留守電に「会社経営について相談をしたいのですが・・・」というメッセージが残っていたので折り返し連絡をすると「ご相談させていただくのに料金はどのぐらい掛かるのですか?」と聞かれた。
事務所から車で15分程度の距離にある会社さんなので「お伺いさせていただいてお話をお聞きし、ざっくばらんに意見交換するだけならお金をいただくに及びしません」と答え、夕方にお邪魔させていただく約束をした。
電話の雰囲気から想像すると、今までの経験上、相談を受けながら相談者のお悩みの現状の交通整理をしているだけで、解決策の方向性が定まり、相談者自体は深刻に考えていたお悩みがかなり軽減されることが多々ある。
この場合、「仕事としては終了」でありコンサルタントとしてお金はいただけるものではないのだが、相談者の悩みがこれで取れるのならこの上のない喜びである。
そんなイメージで訪問することにした。
訪問してお話をお伺いすると、家族経営の小さな会社さんで、顧客要求の変化に対して今後の事業運営の方向性について重大な岐路に立たされていた。
このような時は、決断を下さなければならないことに対して、経営陣のコンセンサスがまとまっていないとすると、経営陣=家族でもあるだけに「誰かに相談したい」という心境であることは想像できるし、よく気持ちは理解できる。
ただ、このような場合は、私の専門とする業務プロセスの改善以前の段階である。
つまり「そもそも会社がどういう方向に向かいたいのか」「現状の顧客の要求」「会社の経営資源の現状」をとらまえて「会社としてまずは何に手をつけなければならないのか」の整理から始まる。
いろいろとお話をしていくうちに、役員(家族)での話し合い以外の他に、付き合いの古い同業者、友人、昔からの仕事仲間、顧問税理士さんなどさまざまな方にすでに相談されていた。しかし、解決の糸口がつかめる回答がない状態であったようだ。
そんなときに3/28と6/6の新聞に私の本の記事が紹介されていて、「この人の本を読みたい」と思ってくれたそうだ。
「読みたい」のキーワードは『気づき』だったそうだ。
「社長に気づかせたい」「自分が見えなかったものに気づきたい」との思いが本を読むことで何かわかるのではないかと思ったそうで、3/28の新聞掲載紙の切抜き(4/1発売の本)を保存してくれていたという。
しかし、実際には日常業務が忙しく本を買いに行く余裕もなく時間が経過していったところに6/6の記事(5/22発売の本)が出て本屋さんに足を運んだそうだ。
そのときは新聞の切抜きを持っていなくて店員さんに「気づきの本」「ISOの本」というキーワードで探してもらったそうだ。私の苗字に記憶があったようで何とか「発掘」できたという。
それにしても、本を読んで「この人に相談してみたい」「NTTで連絡先を調べてみよう」という行動につながったことは驚きだし、本当に嬉しい限りで著者冥利に尽きる。
「ISO」や「マネジメント」に関する知識が乏しい中で、本で書いた著者の想いや意図をひとつひとつ読み解いていただいたのかと想像するとなんともいえないものがある。
ざっくばらんな意見交換は気がつくと晩御飯も食べずに5時間近くが経過していた。
相談してくれた方は、会社の現状、今までの経緯を私に話していく中で、自然と目頭が熱くなった瞬間があったようで何度か席をはずされた。
コンサルタントとして「見栄を張らずに自分に出来ることをしてあげたい」と強く思ったのである。
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