設備設計会社に危険性は伝えられていたのだろうか?
6/19に地下の機械室にメタンガスが充満し爆発した温泉施設シエスパの状況が、警視庁捜査一課が業務上過失致死容疑でユニマットコスモから押収した資料を基にした調査から続々とわかってきた。
ここ2、3日の警視庁の発表を整理してみる。
【施設運営会社】
2006年1月の温泉施設開業前:ユニマット不動産
2006年1月の温泉施設開業時:ユニマットコスモ
2007年6月の事故当時:ユニマットビューティアンドスパ
【施設運営会社から委託された管理等の会社】
開業前の天然ガス濃度の測定依頼:千葉市の地質調査会社
機械室の換気扇設備の設置:大成設備(大成建設の関連会社)
ビルのメンテナンス:日立ビルシステム

施設運営会社については、ユニマット不動産→ユニマットコスモ→ユニマットビューティアンドスパと管理会社が変わっている。
おそらく、ユニマットグループ内の各会社の役割は「施設の建設・管理はユニマット不動産」、「施設の運営はユニマットコスモ」というすみ分けがあるのだろう。
また、ユニマットコスモから子会社のユニマットビューティアンドスパに運営管理が移ったのは、シエスパの営業力、集客力を向上させるためメデァへの露出や宣伝を考慮した経営戦略を取るためだったと思われる。

警視庁の調査によると、開業前にユニマット不動産は、
・天然ガス(メタンガス)の濃度を地質会社に測定させて調査報告を受けている
・天然ガスが機械室に充満した際の危険性を認識している
・地域住民への説明会では、ガス濃度の測定・監視を約束している
・ビル管理会社から天然ガスの危険性が伝えられている
という。
だとすると、
1 機械室設備の設計会社には天然ガスの危険性を連絡して設計させていたのだろうか?
2 ビルメンテナンス会社との契約になぜガス濃度の測定項目を含めなかったのだろうか?
3 施設管理がユニマット不動産からユニマットコスモに移るときに天然ガスの危険性や住民との約束がなぜ正確に伝達されていなかったのだろうか?
4 行政側が施設に対して行う消防点検時に危険性は認識しなかったのだろうか?
という疑問が浮かぶ。

1に関しては、仮に機械室自体がすでに建築されている「居抜き物件」だったとしても、温泉施設の施工時に少なくとも設備設計はあるから、設計会社に天然ガスの危険性が伝達されていなかったとしたらユニマット不動産のミスであるし、仮に天然ガスの危険性が伝達されていなかったとしても設備設計会社自体の能力に疑問がわく。

4については、温泉施設運営時の法規制やガイドラインにガス濃度測定やガス検知器の設置、異常時のブザー設置などが盛り込まれていないから行政が実施する消防点検では確認しなくてもよかったのかもしれないが、消防のプロであれば危険性の認識と施設側への指導・助言はできなかったのだろうか?と思う。

この事故の真相はこれからまだ続々とわかってくると思うが、上記1~4の疑問に対する対策やシステムが組織として確立していれば事故は止めることができたと思う。
このように見ていくと、ユニマットビューティアンドスパは、「ロシアンルーレット」または「婆抜きの婆(ババ)をつかまされた」感じだろう。
グループの関連会社が温泉施設の設置、運営をやってきて、それを引き継いだという意識だから「施設の設置・運営上の問題」はすべて解決されている、つまり安心しきっていたのだろう。
このケースはグループ内の管理会社の移転であったが、これからの世の中、施設の売買は頻繁になるだろう。
施設を買う側の教訓としては、この辺を意識して、チェックしておかなければ「婆を引かされる」ことになりかねない、ということなのだろう。

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