6/19にメタンガスによる爆発事故が発生した渋谷の温泉施設「シエスパ」について徐々に事故の状況が明らかになってきた。
ただ、テレビやラジオの番組でコメンテイターのコメントは、
1)宮田春美社長や施設支配人がメタンガスの危険性を認識していないのは問題だ
2)ガスセパレータが地下に設置されているのに、ガス検知器が設置されていないのは問題だ
3)高級住宅街の渋谷松涛に温泉施設なんか要らない。施設があること自体問題だ。
4)2年前の温泉掘削時の爆発後にできた国のガイドラインに施設設置後の管理が含まれていないのが問題だ
5)経営者が営利主義に走りすぎているのが問題だ
というものが多い。
番組におけるコメンテイターの役割はきっと「一般市民、視聴者の目線で意見を述べる」ことにあるのだから、何をしゃべってもいいとは思うけど、視聴者である我々は「この意見変だなぁ」「こういう見方もあるんじゃないの?」という視点と事実から真相を読み解く論理能力が必要だと思う。

ちなみに、上記に並べたコメンテイターの意見を基に考察してみると、

1) について
確かに宮田社長と施設支配人が地下施設におけるメタンガスの危険性の認識が浅かった点は問題だ。
しかし経営母体のユニマットビューディーアンドスパの他の施設(例:ザブー)ではガス検知器が設置され施設管理会社のチェックもやられていたという。
きちんと管理している施設と管理されていない施設があるのはなぜだろう。
2)について
ガス検知器がないのは問題ではあるが、施設の設計会社はなぜガス検知器の設置(またはメタンガスが充満した際に異常通報や設備の運転停止機能の設置)、またはを設計せず、ビル管理会社はガス検知器がないことを「おかしい」と思わなかったのだろうか。
3) について
スパ利用者がいるのだから経営が成り立つのであり、経営側からいえば大きなお世話だ。
それよりも施設に対する建築基準、消防基準の行政側の確認があったはずで、そこでなぜ指摘(または危険性に対する指導)がなかったのだろうか。
4) について
これは確かに疑問がある。2年前の教訓が活かされていない。
2年前の事故は確かに掘削中の出来事であるが、なぜガイドライン作成時に施設完成後の管理が加えられなかったのだろうか。
5)について
この傾向は最近特にある。宮田社長を全面的にかばうつもりではないが、宮田社長はオーナー社長ではなく、雇われ社長である。つまり抜擢する側はマーケティング力、つまり「広告塔として宮田社長を起用」したのであり、「安全管理」のエキスパートを経営の参謀に含める必要を認識していたのだろうか。

というようなことが考えられる。
「法規制の問題」、「温泉施設の設置確認における行政の確認調査の問題」、「温泉施設の経営者・支配人の安全知識の問題」、「施設設計会社、メンテナンス会社の問題」など複数の原因が問題にあったことは明らかである。
「施設運営会社」の問題に限って言えば、新興企業の経営戦略や体制がマーケティングなど集客重視に偏っている感じは、ユニマットビューティアンドスパに限らず、NOVA、コムスンなど含めて否めないと思う。
ホリエモンの迷言?『稼ぐが勝ち』ではないが「マーケティングオンリー」の企業戦略が目立っている気がする。

企業経営は「安全」「法規制遵守」「狭義の品質管理」など他にも考慮するところがあるのであるが、サービス業の場合、製造業と比較してその辺の管理に対する配慮の意識は低いのかもしれない。

【よかったらクリックお願いします♪】
ブログランキング・にほんブログ村へ
ブログランキングranQ
企業家ブログhttp://www.kigyoukablog.jp/ranki.cgi?id=35