予定運行時刻から遅延気味だったために高見運転手(当時23歳)が速度をいつもより上げて運行していたのだ。
安全を第一に考えれば、制限速度を守らなければならないが、運行実績に問題があると判断されると再教育訓練の場というよりも懲罰的な側面の濃い「日勤教育」が待っているから、なんとか遅延など運行上のミスを出さないようにしなければならないと言う気持ちが強かったのだろう。
高見運転手の場合は、事故を起こす直前にも列車の予定停車位置を超えるオーバーランを発生させており、「もうミスは起こせない」という思いも加えてあったと思う。
事故調査委員会の報告を見るとJR西日本のオーバーラン件数はJR東日本や東海より多いという。(2005年9月~2006年12月の間で約2400件)
その理由(原因)を、
○他社より列車の編成が多岐に渡りブレーキ位置が異なる
○ブレーキ位置は運転手に任せられている
○ブレーキ位置は「身体で覚えろ」と教えられている
○車種が新旧混在している(車種ごと方式が違いブレーキの利き具合が異なる)
としているようだ。
JR西日本はすでに一部で「ブレーキをかける目安の標識(“B”の標識)」を設置しているというが、鉄道利用者サイドからすれば「いまごろ」感がある。
私たちも日常生活や仕事で経験があるが「身体で覚える」のが基本だとすると、経験から感覚的に会得するだけの「量」が必要になる。
車種や列車編成の違いより運転方法が異なるのであれば、さらに膨大な「量」を経験しなければ「身体で覚える」は無理だろう。
技量は「身体で覚える」を基本としている組織は、「身体で覚えることができた時代」とどのように状況が変化しているか把握して理解していないと社内体制やシステムの見直しすることができないのである。
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