更新審査は3年毎にあるが、マネジメントシステムが有効に機能してきたかどうかのチェックもあるので過去に検出された不適合が再発していないかという観点でも検証される。
この「過去に発生した不適合の再発防止」「是正処置が有効に機能してきたかどうか」は
マネジメントシステム認証制度の理屈からすれば、大変重要なことだ。
ただ、現実には中小の受審企業にとっては案外大変なハードルである。
ISOの話をしだすと、話題が一般には専門的かつ抽象的に写るようなので日常の話題にたとえてみる。
たとえば、ある運送会社のドライバーが駐車禁止区域で駐車して運搬作業をしていた、という不適合事項があったとする。
その場合、この不適合原因をたとえば「駐車禁止の交通標識と停車禁止の交通標識をドライバーが誤認してしまったため駐車禁止区域で運搬作業をしてしまった」としよう。
すると再発防止は不適合の原因を除去する対策のことだから「ドライバーに対して交通標識の再教育訓練を実施し、道路交通法の再教育を毎月継続的に実施することとする」となるだろう。
しかし、更新審査でまた同種の不適合が検出されたとする。
受審企業に不適合の理由(原因)を聞いてみると「業務用車両は駐車禁止区域であっても5分程度であれば駐車してもよい、と道路交通法を教育する担当者から教わった」からと回答したとする。
受審企業は是正処置として「道交法の理解を継続的な勉強会を通じてさらに深めることとした」と審査側に回答したとする。
当然審査側はこの是正処置は「容認」できない。
なぜならば、前回の不適合に対する回答も「継続的な教育訓練」だったからだ。
審査側が望む是正処置としては「問題が再発した原因は道交法の教育担当者の選定に誤りがあったので、教育担当者の選定方法を見直し、警察OBなど道交法に長けたものを講師として招聘しドライバーに対して継続的な教育訓練を実施する」のような感じになる。
理屈で考えれば、このような不適合が検出された場合の審査機関と受審者のやり取りはこんな感じになる。
根本原因が「道交法の不十分な理解」にあるならば、審査の中の審査側と被審査側のやり取りの中で相互理解を図れば実態は問題ない。
しかし、審査の性質上、審査側は「不適合事実のみの検出」、被審査側は「再発した不適合の原因究明と原因に対する再発防止」をしなければならない。
ただ、そうなると被審査側は再発した不適合に対して理詰めの説明が必要になるので、先のような是正処置をとらざるを得ない。
認証審査や外部への説明責任にコストを掛けられる、または掛けなければならない企業にとっては先に示したような是正処置は当然やるべきであるが、組織規模が小規模な場合は、このようなプロセスで審査側に是正処置を示すことは能力的にも費用的にも案外きつい。
ISO認証審査の是正処置は、コストと時間がある程度掛かることを企業側は認識しなければならないと思う。
エコアクション21という環境省主導の環境経営システムがある。
この制度を礼賛・絶賛するつもりではないが、ISO以外のマネジメントシステム認証規格ではこの辺が「中小企業でも取り組みやすい」ようにされている。
つまり審査の中で審査員が被審査側に対して助言が認められている。
中小企業の中には経営上の悩みとして「経営システムを確立したい」という会社はたくさんある。
しかし、「ISO認証」を目指すと本来の導入目的が達成できないかもしれない。
したがって、マネジメントに弱く、説明能力が低い中小企業は、
1)ISO認証を受けずにISO規格を使って会社の仕組みを構築する
2)ISO以外のマネジメントシステムを導入して経営システムを確立する
を検討することが必要になると思う。
この辺も考慮して中小企業は導入するマネジメントシステムを選択することが必要なのである。
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