コムスンの介護事業者不正申請問題について、親会社のグッドウィルグループ代表取締役会長の折口雅博氏が各メディアをお詫び行脚をしている。
法治国家の原則として、「仮に悪法であったとしても法律は法律であり絶対」であるから理由や背景はともかく「コムスンが不正申請を繰り返した」という法令違反の事実は確かなので社会的制裁を受けなければならないことは確実だ。

しかし、多くの各メディアの報道姿勢やコメンテイターのコメントは「コムスンは儲け主義でとんでもない」「介護を志すものがジュリアナを経営する思考パターンと一致するはずがない」「介護は儲かる事業ではなく六本木ヒルズなど高級ビルに入居していたのはおかしい」「折口会長はコムスンを立ち上げた時に“介護は儲かる”と言っており、ビジネスオンリーで介護を食い物にしている」などの感覚的・感情論的な発言が相次いでいる。
挙句の果ては「折口会長の生い立ちや現在の年収、豪華な自宅」ばかりクローズアップさせて世間の好奇心(覗き見根性)を煽るような報道が多い。

・・・おいおい、これが日本有数の大学を卒業し、世間では有識者と呼ばれる人のコメントといえるのだろうか、と考えると首を傾げたくなってしまうものもある。
まさか世間の多くの人は「介護は儲けを考えないボランティア精神旺盛な方がやればいい」と思っているのであろうか。
そんな奇特な人は、限られた人だけだろう。
介護は「健全にいくら企業努力をしても構造的に儲けることができない業務であり、社会的に必要不可欠な仕事」であるならば、「営利追及が原則の民間企業への開放」はすべきではなく、半官半民の組織でやるべきものである。(注:民間参入の方向性を否定しているわけではない)
そもそも「介護事業の民間開放・参入」と行政は言ってはいるが、膨れ上がる介護費用に国は悲鳴を上げて2006年の介護保険制度の見直しが行われたと言われており、そのしわ寄せもコムスンの諸問題の原因のひとつであるならば「介護の民間企業への押し付け」である。

6/11のスーパーモーニングを仕事の準備をしながらちら見していたら、橋下弁護士が「不正申請は問題ではあるが、これで介護サービスを受けている人がどれだけの被害を被っているか調べるべきだ。実害がないのにコムスンだけを責めるのはどうか」と言う趣旨の発言をしたところ週間朝日編集長の山口氏が「不正は不正、介護は儲からない仕事であり細々と小さな事務所でやればいい」と言う趣旨の反論をしていたが、客観的に見て橋下弁護士の議論の方が全くもって正当な主張だと思った。
もちろん「介護レベル」を上げて申請すると点数(保険料)が上がるので不必要な介護まで受けさせていた、と言うような点は問題ではあり、そういう点は確かに「介護を食い物にしている」と言える。
しかし、その点を言うならば医療の方があくどい所はもっとあくどい。
先日も社会保険庁の役人に歯科団体が賄賂を渡していた事件もあった。
介護保険の不正請求(過剰請求)に関しては、コムスンだけの問題ではないし、「指定事業所の不正申請」とは別問題だ。
つまり、今回の直接の問題である「新規指定事業所認定の取消(5年)」に関して、即「介護を食い物にしている」とはならない。しかし「法令違反の疑い」報道より「感情的」な論調に流れていて、介護制度の本質の議論が脇に放り出されている気がして怖い。

コムスンに関しては、想像でものを言うのはいけないですが、コンサルティング経験を通じて報道されているコムスンの社内状況と同じような会社を見ることがある。
つまり経営層が「利益、利益」のみを常に口にする会社だ。
まったくその仕事を「ビジネス」としか見ていない経営者もいますが、折口会長は基本的に悪い人じゃないし、介護に対する社会的貢献など立派な志も持っていると思う。
しかし、経営層が「利益」を強調すれば社内の雰囲気はいやがおうにも「顧客重視」の雰囲気は生まれませんし、各事業所の管理者は相当のプレッシャーを日々受けることになるだろう。
また、「利益の上げ方」も「気合」「勢い」「感性」を中心に「現場に任せる」で目標が達成できなければ「配置換え」では何も組織として進歩がない。
このような状況で人事異動が激しいから、新規事業所を申請するときに、数ヵ月後には申請内容が変更になっているがその管理が追いつかない、という感じだったのではないだろうか。

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