ベストセラーになっている
「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」
武田邦彦著(洋泉社2007年2月刊)
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=31850361
の著者が2000年1月に出された
「環境にやさしい生活をするために「リサイクル」してはいけない 」
武田邦彦著(青春出版社2000年1月刊)
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=30642835
の内容に異議を唱えているウェブサイトがある。

そのウェブサイトは
「特定非営利活動法人 環境市民」
http://www.kankyoshimin.org/jp/library/takeda/takeda1.html
(※異議を唱える見解自体は事務局長の堀孝弘氏のもの)
この組織は1992年に「環境市民基金設立準備会」として発足し、「持続可能で豊かな社会・生活を実現する」をビジョンとして各環境プロジェクトやセミナー活動を展開されているいわゆる環境団体のひとつだ。

NPO法人環境市民事務局長の堀氏の「環境にやさしい生活をするために「リサイクル」してはいけない」に対する見解は示唆に富んだものであり、大変参考になる。
詳細は堀氏の見解本文を見ていただくことにして「異議」の概要を整理すると

【武田氏の主張と一致する点】
『ごみ問題はリサイクルで解決しない』

【武田氏の主張に対する異議】
『循環型社会形成への警鐘がない』
『リサイクルしなければならないものを減らすための主張がない』

というような感じになる。
要は、現代社会が「循環型社会」を目指しているが武田氏の主張には、
○現行の「容器包装リサイクル法」など日本の施策は消費の増大に無制約で後追いになっている
○容器包装のリサイクル費用の殆どの負担は自治体が担うことになっており、缶やペットボトルなどを多く利用する消費者でも、あまり利用しない消費者でも一律に税負担しなければならず、税負担の不公平問題がある
○循環型社会形成に関する自治体と容器包装製造事業者の費用負担に不均等がある
といった問題にあまり触れられていないことが「異議」のポイントであるようだ。

堀氏が、《研究者(注:武田氏は大学教授)は刺激的な説を批判覚悟で社会に投げかけ、議論を喚起し、社会の関心を高めることも時には必要であり、そのような研究者の努力には敬意を表したい。しかし対話や実態調査のない決めつけは歓迎しない。研究者の方々が、市民向けの啓発をされる際には、この10年ほどの間の市民活動の成果を評価した上で発信されることを願いたい。》と述べているように研究者は環境問題について市民に正確な情報を伝える担い手として「現場の机上の理論だけでなく実態をよく見るべき」、「現場で活動する市民活動のリーダー層と対話が必要(注:それによって市民リーダーも研究者から貴重な知見をえることができる)」ということが言いたかったようだ。

今年、ベストセラーになっている書籍では
「下流志向 学ばない子どもたち働かない若者たち」
内田樹著(講談社2007年1月刊)
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=31836707
も一部の若者や現場教育者から「トンデモ本」として評価されていない。
つまり書籍の主張が感覚的・情緒的で、実業と現場実態を知らない学者センセイが机上で論じただけの本と捉えられているのだ。

つくづく、机上理論とフィールドワークから得られた現場実態がよい相互補完関係になっていないと評価されないし、有効に機能しないし、主張が偏ったものに映ってしまう。
環境問題に限らず何事でもそうだろうけれど、研究者、現場指導者、ジャーナリストなど「一般市民への情報発信者」の立場と自覚&相互補完関係、および、情報受信者の一般市民のメディア・リテラシー(情報メディアを批判的に読み解いて必要な情報を引き出し、その真偽を見抜き活用する能力)の向上が重要なのだろう。

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