全国ニュースにもなったのでご存知の方も多いと思うが、オープンから27年目を迎える北海道ニセコのペンションが酒税法違反に問われた。
このニュースの概要はこうだ。

《北海道後志管内ニセコ町のペンション「ふきのとう」(1980年オープン:池田郁郎オーナー)が自家製果実酒を宿泊客に提供していたことで、酒税法違反に当たるとして札幌北税務署から没収・廃棄処分を4月17日に通告された。
「ふきのとう」ではオープン当初から宿泊客に自家製果実酒をふるまっており、果実酒の種類は約100種類になるという。池田オーナーは「通告には従うがなぜ今ごろか」と憤慨している。しかし、5月11日に札幌北税務署から「没収にはお伺いしないことになった。ご自分で廃棄してください」と連絡があった。》

池田オーナーは、アルコールに各果実等を漬け込んでいる。
酒税法では、果実酒とは、酒税法による酒の分類の一つで、果実を原料として発酵させたもの(酒税法第3条、第4条)と規定されており、果実を漬け込んだ酒(リキュール)も果実酒と呼ぶことがある。
また、無免許で製造したり販売することは規制されており、例外として「家庭内のみの飲用」は認められているが、他者に渡したりする場合は無料であっても「みなし醸造」と解釈されて酒税法違反となるのだ。

税務署の運用上の判断としては「家庭内のみの飲用」は「同居している家族」の範疇を指し、例えば、同居していない家族(例えば、実家を離れた息子や娘)に梅酒を送って飲ませることは「酒税法違反」になるという。

ただ、現実問題として池田オーナーのペンションに限らず全国に同様のケースはあり、「家庭内の飲用」の拡大解釈的扱い、または酒税法の目的そのものを大きく侵害するレベルではないとして「おめこぼし」されてきた。
ちなみに、池田オーナーに関しては、
『北の果実酒・薬草酒』 北海道新聞社刊 1998年
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=30453254
という著作もあり、地元では昔から有名な方だ。

法律を厳密に捉えれば、現行法上はもちろん酒税法違反になってしまうが、酒税法に限らず「法の目的」や「社会的秩序」に反しないレベルの「法の条文上の違反」は世の中にたくさんある。
例えば、制限速度が60キロの自動車専用道路で、道路全体の車の流れが70~80キロで流れている時にかたくなに1台だけ50キロで走っていたら逆に往来上危ないし、警察が道路の流れに乗って運行している車を取り締まることもないだろう。

この問題の顛末として税務署の「没収には行かないからご自分で廃棄してください」は逢坂民主党代議士が菅総務大臣に委員会でこの件に関して質問し、問題が大事になってきたから静かに幕引きをしたかったせいだろうか。

ともかくこの件は、法を取り締まる側の税務署として「触れてはいけない部分」に触れてしまったのだろう。

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