仮に一人で商品を製造してインターネットで販売するネットショプを経営している人がいるとしても、材料の仕入れは誰かから入手しているだろうし、お客さまへ商品を届けることはアウトソース(外注)しているだけでこれまた誰かに依頼して実施している。
このケースは極端であるが、ある程度の従業員がいる企業であれば、総務、営業、開発、設計、生産技術、購買、製造、品質管理、販売サービスなどの部門があり、それぞれの部門業務と相互に連携しあっている。
したがって、それぞれの部門が持つ役割やプロセス(業務)を計画通りに他のプロセスとつながり機能するように管理しなければ、組織全体としてベストにならない。
つまり、各プロセスが「自分に与えられた役割は果たしたから後はしらんぷり」では企業は適切に機能しない。
「後工程はお客さま」を簡単に言えば「各部門が自部門の業務の結果を利用する部門、つまり後工程をお客さまのように考えて、間違いを犯すことなく、喜んで受け入れてもらえるように仕事を実施すること」である。
日本人は元来集団で行動する文化が昔からあったと思う。
だから相手に対する気遣いを無意識のうちにする。
「自己主張が強くないのが日本人」と言われることが昔はあったと思うが、それはよく言えば関係する相手に対する気遣い、配慮があるから摩擦なく融和するように無意識のうちにふるまうからそうなるのだと思う。
しかし、今では核家族化が進み、小さい頃から知らず知らずのうちに自己中心主義に人は育ってきている。
だから相手が理解しやすく仕事がやりやすいかなどを考えることも人も少なくなってきているのかもしれない。
したがって、意識的に後工程の人が間違いを犯すかもしれないケースを想定し、そうならず仕事がしやすい条件を作っていくことが重要になる。
例えば、工場でものを製造し、検査して出荷するという各プロセスがあるとする。
「後工程をお客さま」と考えれば、製造する人は検査する人が検査作業を確実に実施できるように加工済みの製品と加工途上の半製品を箱や置き場を識別してわかりやすくするだろうし、検査する人は検査済み製品か未検査製品か手直しが必要で判断を保留している製品なのかの識別をして出荷する人が出荷ミスを犯さないよう工夫するだろう。
以前、訪問したことがある自動車部品工場ではとんでもないクレームが発生していた。
それは、未加工品が大量に顧客に納品されたと言うのである。
調べてみると、出荷場で梱包する作業員は派遣された短期契約の外国人労働者であり、出荷場に運ばれた製品は片っ端から梱包して出荷していたのだ。
昔の日本なら、後工程を担当する人は「変だな?」と感じれば前工程に作業状態を確認したと思う。
しかし、セクショナリズムが強くなると「自分の役割を果たすこと」のみに注力して前後の工程のことはお構いなしになる。
だから、昔以上に意識的に想定されるミスなどリスクを想定した管理が必要になるのだ。
近頃は企業内での将来に自信も希望も持てず「組織の歯車になりたくない」などの理由から入社3年以内に退職するケースが多い。
しかし「自分の役割は組織の中でこの部分の歯車」という認識が出来ていればある意味、立派だと思う。
なぜならば「組織の中で前後の仕事のつながりと自分の役割を理解して、人に言われなくてもやるべき行動がわかって実践する」ことが組織運営にとって効率がよいわけだから「組織の歯車である」との認識は素晴らしい理解力と自覚だと思う。
ともかく企業全体の各部門とそのプロセス機能を理解し、自分が担当するプロセスの後工程をお客さまと考えることが確実な仕事を実施するうえで大事なことなのである。
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