ISO認証制度が始まった頃にISOコンサルタントをされていた人は、「言い値」で仕事ができたそうだ。
まだ日本国内の認証企業数が1000に満たなかった頃は、ISOコンサルタントと称する人は本当に少なかった。

1993年以前はまだ国内の審査員登録制度も始まっていなかったから、審査員やISOコンサルタントはイギリスやアメリカにある審査員評価登録機関に資格申請して審査員資格を取得していた。
ISOコンサルタントは「自己宣言」で商売を始めることができる。
ただ、その当時はコンサルタントとしての箔(はく)をつけるためにイギリスやアメリカの審査員評価登録機関に資格申請するコンサルタントが多かったと思うが、1993年以前はまだ100人もいなかったと思う。

当時はそんな感じで、ISOコンサルタントは少ない、取得したい企業は大手ばかり、まだ導入ノウハウ本も少ないという状態だからISOコンサルタントといえば「ひとしゃべり50万円」などといわれた時代であった。
世の中はバルブ景気が崩壊し、企業は新規採用を控え始め、早期退職制度や能力給制度が普及し、サラリーマンにとっては冬の時代が到来していたが、ISO関連業界だけはウハウハの時代だった。
ある経済学者の話では、ISO関連産業の登場により新たな雇用が創出され、大企業からリストラされたり、早期退職した人たちの受け皿になったという説もある。

私は当時認証機関のサラリーマンとして契約審査員の採用にタッチしたことがあるが、自薦、企業からの他薦を含めて審査員希望者は多かった。
それは企業はバブル崩壊で急激な人員整理の必要性が生じ、子会社の管理職などのポストが不足していたから積極的に売り込んできていたからだ。
審査で企業に訪問すると、雑談の時間に暗に審査員として売り込みをかけてくる事務局の人も当時は結構いた。
当時はコンサルティング会社の雇用環境も同様だったと聞いている。

つまり当時のISO業界はコンサルティング会社や認証機関は完全な売り手市場で、宣伝などまともにしなくてもお客さんは次から次へと休む間もないぐらいに来るし、人材の確保(優秀か否かは別にして)にも事欠かなかった。。
ただ、そうなってくるとISOの導入指導はコンサルティング会社にとって効率的な指導になる。
つまり、企業ごとにカスタマイズした、企業とコンサルタントが一緒になって企業に合ったマネジメントシステムを手間暇かけて作りこんでいくと作業が「効率的」、要はマニュアル化や下請け化が進んでくるのだ。

コンサルタントには、
1)規格要求事項の一般的な解説をセミナーのように実施するだけの人
2)企業に宿題を出し、企業側が提出してきた実態を整理したり新たに考えたシステムに感想を述べるだけの人
3)汎用的な雛形を企業に渡し、企業の実態は無視して審査的に通るか通らないかだけを評価する人
4)企業の人と一緒になって、企業実態に見合った効率的なシステムを創造する人
がいる。

クライアントが大手企業ばかりの時は、企業は「規格要求事項の解釈がわからない」というのが最大の悩みだったので、1)、2)のコンサルタントでもよかった。
むしろ、規格の要求と自社の業務のつながりさえ指導してもらえれば、下手にコンサルタントに余計な指導をされてヘンテコリンなシステムを押し付けられるよりも優秀な人材はたくさん企業内にいるので、コンサルタントの役割は1)、2)で十分だった。

認証を目指す企業が増えていくと、企業規模が徐々に小さくなってくる。
すると企業独自では、自社に見合ったシステムを創造する能力がある社員がいない。
そうなるとそういった企業には4)のコンサルタントが必要になる。
ただ、4)のコンサルタントは相当のコンサルティング技量がないと務まらない。
しかし、コンサルティング会社への業務依頼が多くなると4)のコンサルタントは超多忙となりコンサルタント不足が生じる。
ただ、4)のコンサルタントの育成には時間がかかる。また、4)はコンサルティングの工数もそこそこの時間を要するから、企業が支払う費用もある程度の金額が必要になる。

したがって、コンサルタントの促成栽培をする必要が出てくる。
つまり、もコンサルティングの雛形化や下請け化が進むのである。
雛形を説明して審査をパスするための指導力があるコンサルタントの育成ならそんなに手間がかからない。
また、システムを雛形化することによってコンサルティング費用の低減が図れるのでコンサルティングの受注競争力はつくし、コンサルティングを下請けしても審査にパスするレベルのシステム構築は安心して外注のコンサルタントに任せられる。
こうして3)のコンサルタントが増えることになる。

「中小企業のコンサルティングなら簡単で雛形をポンと渡せば大丈夫ではないか」と考える人が多いかもしれないがそれはまったく逆である。
中小企業はそもそも責任権限が不明確なので、責任権限がはっきりしている大企業的なシステムを持ってきてもそのまま使えないから、企業実態を把握する能力とそこから全体的なマネジメントシステムを構築する能力が必要なのだ。
また、中小企業は多くの収入の流れを確保するためにいろいろな仕事をやっているところが多い。
つまり、部品製造をメインでやっているとしても、修理改造などのメンテナンスをやっていたり、部品製造とはまったく関係のない商品を販売をしていたり、保険の代理店をしていたり不動産管理をしていたりと業務がさまざまである。
仮にそのすべてを認証の対象としていると、マネジメントシステムの構築はかなり複雑になる。
むしろ大企業で事業部制を敷いていてテレビだけを設計・製造しているような何千人もいる事業所の方がマネジメントシステムの構築ははるかに楽である。

したがって、ISO認証制度が多くの企業に広がり発展していくとともに本来は4)のタイプのコンサルタントが必要なのに、3)のタイプのコンサルタントが増えるという矛盾が生じてしまったのである。
(つづく)

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