第83回東京箱根間往復大学駅伝競走は、古豪順天堂大学が11回目の優勝を飾って幕を閉じた。
終わってみるとやはり強烈な印象は、トップと4分以上の差を逆転した山登りのスペシャリスト今井正人選手がピカイチで残った。

各校とも往路に有力選手を配していたから、往路で優勝争いは決した感じで復路は優勝争いに関しては面白みに欠けた感じがした。
そのため、テレビ中継も途中からシード権争いを中心とした放送構成になっていたと思う。
もちろん、今年のシード権前後の順位は実力が拮抗していてすさまじいデットヒートだったので面白かった。

メディアは優勝争いに焦点がいっていたが、私は今回の箱根駅伝で秘かに注目していた結果が2つある。
それは、
①予選会9位(最下位)の国士舘大学
②関東学連選抜
の成績である。

①については、ご存知の方も多いと思うが、国士舘大学は予選会10位の拓殖大学との差がわずか1秒であった。
箱根駅伝の予選会について簡単に説明すると、前年度の本選で10位以内のシード権を獲得した大学以外で10月に予選会を行って9校(10校目は学連選抜チーム)を決めている。
その方法は、その年の1月から予選会までの間に1万mで35分または5000mで17分以内の公式記録を持った10人以上の選手で20キロを走り、上位10人の合計タイムで競われる。

ただ、単純に合計タイムで本選出場が決まるのは6位(校)までで、7~9位(校)はこの合計タイムから関東インカレの成績ごとに時間換算されたタイムを引いた合計タイムで決定される。

予選会の結果は、
6位 明治大学(10時間16分35秒:実時間):6位までは10人の合計タイムで本選決定
7位 城西大学(10時間18分31秒)2分25秒⇒換算タイム10時間16分06秒
8位 大東文化大学(10時間18分29秒)1分55秒⇒換算タイム10時間16分34秒
9位 国士舘大学(10時間20分47秒)3分50秒⇒換算タイム10時間16分57秒
10位 拓殖大学(10時間17分08秒)0分10秒⇒換算タイム10時間16分58秒
であった。

つまり、上位10人の20キロ走の合計タイムでは7位であった拓殖大学は、関東インカレポイントによる換算タイムで10位となり9位との差1秒で本選出場を逃したのだ。
ちなみに、関東インカレのポイントは総合順位とエントリー数が加点のベースになっているから駅伝に関係のない種目(例えば、砲丸投げや槍投げ、短距離走)もポイントとなる。
拓殖大学にとっては、悔しくてしょうがない結果だったと思う。

②については、予選会の突破の9位(校)以外の成績上位者から選抜されるチームである。
学連選抜チームの実際に走ったランナーの予選会の合計タイムは、
1区 外丸 和輝 東京農大   1:00:39 16位
2区 久野 雅浩 拓殖大    1:01:06 32位
3区 佐藤 雄治 平成国際大 1:01:17 40位
4区 大城 将範 筑波大    1:01:37 66位
5区 涌井 圭介 拓殖大   1:00:52 24位
6区 川内 優輝 学習院大  1:01:15 37位
7区 小沢 計義 関東学院大 1:01:33 61位
8区 椎谷 智弘 東京農大  1:01:22 47位
9区 馬場 圭太 帝京大    1:00:42 17位
10区 米澤 豪 青山学院大 1:01:54 90位
合計タイム10時間12分17秒
この学連選抜チームの合計タイムは、予選会を1位通過した早稲田大学(10時間6分53秒)には及ばないが、2位通過の専修大学(10時間12分43秒)を上回るのだ。

以上のような観点より、インカレポイントで拾われた国士舘大学と関東学連選抜の出来がどうなるのか楽しみだった。
結果は、国士舘大学19位、関東学連選抜20位。

国士舘大学の19位は、予選会の20キロ走の上位10名の合計タイムを反映させた結果で、関係者には申し訳ないが順当な結果なのかな、と思う。
ただ、不思議なのは学連選抜の結果。
予選会のデータだけ見れば、シード争い絡んでもおかしくない。
素人考えではあるが、学連選抜の敗因は、
・箱根路特有の山登り/山下りのスペシャリストがいない
・チームとしては予選会で落選しており本選までモチベーションが保ちにくい
・チームの結束力、協力体制が弱い
ということだろうか。

混成チーム(選抜チーム)がシード権を獲得すると本選出場枠が1つ増えるという。
長距離ランナー全体のレベルアップ、箱根駅伝の盛り上がりを配慮したシステムを期待したいな、と思った。