男性はやる気が湧いてくると野球の投球フォームの仕草をすると思う。
この感覚は女性にはわからないかもしれないが、男性なら多くの人が思い当たると思うし、実感しているはずだ。
(女性で「エアサッカー」(応用編でエアボウリング、エアベースボール、エアテニスなどもあるという)好きな人がいることを聞いたことがあるので、もしかしたら女性にも「やる気が湧いた時の仕草」があるのかもしれない)

あるとき、何人かの仕事仲間で立ち話をしながら、雑談をしていると、進めている仕事についての吉報が入ってきた。
その報を聞いて「ばんざぁ~い」と手をあげる人やガッツポーズをする人もいたが、野球の投球フォームをする人もいた。
バンザイやガッツポーズは一時的な喜びを表す仕草だと思うが、「これから戦略を立てて緻密に行動しなくっちゃいけない」という決意の気持ちが沸々とした状況下の時は野球の投球フォームになる気がする。

「やる気」はスポーツを観戦していても起きる。
お正月は東京箱根間往復大学駅伝競走をテレビ観戦することが多いが、見ているうちに何度も野球の投球フォームをしたくなった。
大学生の箱根に賭ける思いやタスキに託したチームワークを傍観者として眺めていると、「俺もやるぞー」という気になる。
身体の調子がいい時は、ランニングシャツに着替えてジョギングもついでにしたくなってしまう。

ただ同じスポーツ観戦でもリーグ戦で戦うような例えば、野球とかサッカーの試合はテレビ中継されていても、観戦中に応援しているひいきチームが負けたところで、あ~ぁ、と思うぐらいで「次の試合は頼むぞ」ぐらいにしか感じない。

しかし、箱根駅伝もそうだけど、オリンピックや高校野球・サッカー・ラグビー選手権など「1試合1試合に重み」がある試合を見ていると、結果が出るまでのストリーや勝者と敗者の表情が真剣そのものなので「俺も一丁頑張るか」の気持ちをより増幅させているのかもしれない。

そんなことを考えていたら、「逆はありえるのかな」と思った。
つまり「やる気を引き出したいときは野球の投球フォームをする」である。
心理学者によると、恋愛するとドキドキして心拍数が上がるが、擬似的にその状況を運動などによって作り相手の人に会うと「この人のことが好きなのかな」と脳が勘違いするらしい。
やる気が欲しい時に試してみようと思った。