年末にほぼ恒例ですることがいくつかある。
そのひとつに、年末年始のテレビをボーっと見ながらこたつで食べる「みかんの箱買い」がある。
今では元旦も開店しているスーパーはあるし、ちょっと割高だけどコンビニもあるからお正月の食料に困ることはまずない。
しかし私が幼少の頃は、近所の商店街はもちろん、スーパーも三が日は休みのところが多かったので、その頃からの習慣でみかんは箱買いしている。

いちごやぶどうなど1つの実が小さいものを除けき、例えばりんごやなし、柿といった果物は、いくら美味しくても一度に何個も食べることはできないけど、みかんは美味しいみかんだと止まらない。
気がつくと手が真っ黄色になるほどむいた皮がたまっている。
だから、みかんは箱買いしなければすぐに品切れになってしまう。

みかんを箱買いで買ってくるとまず自宅ですることは「箱からすべてのみかんを取り出して痛んだみかんを取り除く作業」だ。
みかんはどうしても出荷時に、ベルトコンベアでどさっと箱に詰められて出荷されるから、打ち所が悪くて下敷きになり押しつぶされたみかんがある。
そういったみかんは、全部食べきる前にそこから腐ってカビが生える。
カビは他のみかんにもすぐに伝染するから、箱買いしたときのみかんの選別作業は常識である。
この「箱買いしたみかんの良否選別作業」は年末の我が家での恒例行事だった。

しかし、最近はスーパーのサービスが向上したようで、箱買いすると店員さんが別の箱にみかんを詰め替えてくれる。
聞くと、売った後に「みかんが腐っていた」という苦情が昔より多くなったので、みかんを箱買いするお客さんについては、みかんを別の箱に詰め替える作業をしながら痛みがないかチェックしているのだという。
便利になったのは消費者として余計な手間暇が掛からずありがたい。

しかし「箱買いしたみかんチェック」という作業を自宅ですることで、みかんの目利き能力が身に付き、カビが生えるメカニズムやみかんが出荷されるまでの工程を知ることができるのにな、と思った。
サービスが向上して便利になりすぎるから、想像力が働かなくて「なんでこのみかんこんなに腐っているのよ」と気軽に苦情を言ってしまうのだ。。。なんてちょっと思う。

今年のみかんは「裏作」らしいが、予想に反して箱買いしたみかんは、あまく、味もしっかりしていて旨い。
店員さんに「このみかん甘いよ」といわれて買っても単に甘いだけで、味がバカっぽいのが多いときがあるが、今回の箱買いみかんはかなり旨い。
またテレビを見ながら手を真っ黄色にしてしまいそうだ。