「金を払っているんだからやってもらうのは当然」風の態度はどうも性格的にも抵抗感がある。
もちろん、「王様気分で大名旅行」をするときであれば、非日常性を楽しみたいから、ちょっとわがままになりたいし、面倒くさいことはすべてサービス提供側の人にやってもらいたいと思うが、それでも限度があると思う。
以前、ムカついたのは百貨店のロビーで、掃除のおばちゃんの傍で若者数人が買い物した商品のゴミを撒き散らかしていた。
ゴミ箱は歩いて数歩の位置にあるのだが、掃除のおばちゃんを見て「この人はこれ(掃除)が仕事だから仕事を作ってあげなければいけない」とかいいながらゴミを放り出していたのだ。
掃除のおばちゃんは黙ってそのゴミを片付けていた。
仲間うちの「しゃれやギャグ」のつもりもあったのだろうけれど、「こいつら許せん」と思った。(絡まれるのが嫌だったので何もできなかったけど)
その他にもゴミに関して言えば、JRに乗ると車内のくずかごの種類は1種類かせいぜいペットボトルを区分けする投入口があるタイプの2種類かしかない。
そのため、最近はJR側に「分別しなくていいんですか」と尋ねる人が増えたのか、車内アナウンスで「ゴミはまとめてお捨てください。後ほどJRが責任をもって分別いたします」と案内する車掌さんが増えてきた。
しかし、だからといってあまりにもぐっちゃぐっちゃにして捨てるのはどうかと思う。
その後で分別する人のことを考えたら可能な限り整理してゴミを出してあげたい。
話は変わるが、ある日、施術が上手いと評判のスタッフがいるリラクゼーションサロンにそのスタッフ指名で訪問した。
施術はうわさどおり素晴らしく満足いくものだった。
私は肩こり性なので施術は今までの人生で100店舗近く訪問したことがある。
施術には西洋系のリンパ、東洋系の経路など「流派」がいろいろとあるが、たいていはまずはベットにうつぶせにされる。
その時、手や腕の位置について、ベットの脇にだらんとたらした格好を要求される場合や、「きよつけ」の姿勢のように腕を身体と並行の位置にすることを要求されたり、中途半端なバンザイをした腕の位置にすることを要求されたりと施術する人によってさまざまである。
担当してくれた施術師がざっくばらんな人だったので、「施術師さんにとってどの腕の位置や姿勢が施術しやすいですか?」と聞いたら、「施術学校で、”お客様にとって楽な姿勢をとってもらい、その中でベストの施術をしなさい”と習ったので、お客さまが一番楽な姿勢でいいですよ」といわれた。
そこで私が「少なくとも私に限っていえば、施術師さんがベストの力を発揮できる状態を客側が作ってその施術師さんの最高の施術を受けたいから、施術しやすい姿勢をリクエストしてください」と言った。
すると「そう言っていただけるとありがたいですね、今日はお客様の筋肉といいご挨拶ができそうです!」と明るい声でにっこりと(下向きだから想像)された。
「お金を払っているんだからなんでもあり」の態度は、サービス提供側に気持ちよく仕事をしてもらえない。
したがって、「お金を払っているんだぞ」という客側の行き過ぎた驕りや「お客さまからお金を頂いている」というサービス提供側の極端な卑屈はもちろんダメであるが、適度なバランスを取らないと双方にとって「いい時間を過ごすことができた」にはならない。
サービスを提供するされるの関係は、お金を払う側と頂く側の違いではあるが、やはりその基本は「人間性」なんだろうな、と思う。