「また買いたい」、「またやりたい」の気持ちを高めるには、「なんだか良くなった感じがする」感をどう持たせるかがポイントだと思う。

例えば、サウナ風呂。
サウナはお湯を張った風呂ではなく、温度が非常に高い部屋で汗をかく風呂である。
自宅にサウナを持っている人も中に入るが、通常は、温泉やスーパー銭湯、健康ランドに設置されている。
サウナに入ると、貧血気味になるなどの理由で敬遠する人も案外いるが、多くの人がサウナが設置されている施設に行くと長時間入ってしまうのではないかと思う。

サウナ利用者にインタビューしたことはないが、おそらく、「なぜ利用しているのですか?」と質問すれば、
・汗をかいて健康によさそうだから
・たっぷり汗をかいて身体の新陳代謝を促進してくれるから
・脂肪を燃やしてダイエットにつながりそうだから
「サウナはよく利用されますか?」と質問すれば、
・不定期だけど、温泉に来た時は必ず利用する
・定期的に利用している
という回答が多いのではないだろうか。

ここでのポイントは「汗をかく」こと。
「汗をかく」⇒「健康に良い」、「ダイエット効果がある」というイメージになっているのだろう。

サウナに似た効果として最近はやりのものに「ゲルマニウム温浴」がある。
ゲルマニウム温浴とは、有機ゲルマニウムを溶かした温水(42~43度)に20~30分間手足を浸けると、ゲルマニウムが全身にいきわたり、汗をたくさんかくことができるというものだ。
この温浴器具の効用をみると、「有酸素運動120分相当の発汗作用があり、またゲルマニウムは、人間の細胞と同様半導体なので、身体の中で共存できないことから、取り込んだゲルマニウムは体内に長く残留できず、24時間後には身体の中の老廃物、毒素、異物、余分な脂肪などが抜け出し、健康な弱アルカリ性の身体に改善される」というような文言が書かれている。
やはりこれもポイントは「汗をかく」だ。
ゲルマニウムブレスレットなどゲルマニウムを利用したデトックス器具は他にもあるが、「汗をかく」がより健康にいい気がするのだと思う。
汗をかかないゲルマニウム温浴では、人気が出ないかもしれない。

健康つながりでいえば、青汁やもろみ酢。
これもあのまずさがからだに効いている感がある。
きっと効用はそのままで、もっと美味しい飲み物にすることも可能なのだろうけれども、「ある程度の飲みにくさ」が「また買いたい」のポイントなのだと思う。

管理者育成のセミナーで、2週間近く寝る間を惜しんで徹底した知識と行動力に関する反復練習を合宿する研修や、グループ討論をして相手を褒めたりけなしたりする研修、街頭に出て見ず知らずの人に声を掛けまくったりする研修がある。
これも、一見傍から見たらバカバカしいことを一心不乱に取り組み、研修後には鬼講師からねぎらいの言葉を掛けられて、参加者の多くが感激に咽ぶ。
「ハードなスケジュールをこなした達成感」が、自分をひとまわりもふたまわりも大きくした感覚になるのだと思う。
同じ内容の研修を「時間に余裕」、「お泪なし」で企画したら、セミナーの評判は継続して高いものなのか疑問である。

もちろん、中身がぜんぜん伴わないようなものでは「広告に偽りあり」になってしまう。
しかし、利用して「良くなった気がする」感をどう作り出すことが「また買いたい、やってみたい」を促進する重要なポイントであることは間違いないだろう。