ビジネスで売上アップを目指す方法のひとつに「購買点数・購買単価を増やす」という考えがある。
その代表格は「100円ショップ」だと思う。
引越しするととりあえず身近かな日用雑貨が必要になるので「100均(ひゃっきん)」に駆け込むことが多いが、驚くほど色々なものが揃っている。


台所用品を挙げてみても、急須とマグカップを買いに行ったとする。
すると、「カップを使ったら洗わないといけないよな」と考えるから次に洗剤、スポンジ、タオル掛けなどに手が伸びる。
売り場を立ち去ろうと思って周りを見渡すと、お盆、ガラスのコップ、食器の水きり用カゴ、吸着板の付いたスポンジを置くトレイ、包丁、まな板、茶渋取り剤、生ゴミの水切りネット、水道水の蛇口につける浄水にする器具などが目に飛び込んでくる。

この辺の商品になると必ずしも必要不可欠なものではないのだが、「次に買いに来るのも面倒だし、1個100円なんだから買っておくか」という衝動が起きて、ついつい購入してしまう。
ちなみに、今挙げた台所商品だけでも14点になるから、〆て1,400円(税抜)になる。

もともとは、「急須とマグカップ」を買いに行っただけだから200円(税抜)で済む話であるが、まんまと?お店の販売戦略に乗せられて「購買点数」をいつの間にか増やしているわけだ。


同じように、廉価版のファミレス、チェーン店の居酒屋、ファーストフードなども「購買点数を増やして客単価を上げる」戦略だ。
一つ一つの商品が100円台、200円台のものがたくさんあるからついつい追加でオーダーしてしまう。
フォーストフードなども気が付くと、定食屋さんに行った時よりたくさんのお金を支払っている。


マクドナルドは、「100円マックシリーズ」で客単価を上げようとしたが、一人あたりの単価が案外上がらなかった。
おそらく、当初の100円マックシリーズはこの中の商品アイテムだけで「満足感」がでてしまい、「メイン商品にプラスして購入」という感覚が薄れたのだと思う。
当初の商品アイテムなら、「チーズバーガー、コーヒー、アップルパイ」の組み合わせが300円で済んだ。
さすがに、マクドナルド側も「100円マックは売上のプラスαにならない」と思ったらしく、気が付いたら、100円マックからチーズバーガーが抜かれていた。
当然だと思う。


丼物のファーストフード王といえば「牛丼の吉野家」だろう。
最近のニュースで吉野家が駐車場のある店舗でアルコール販売を取りやめたという。
対象店舗は全1005店舗中の621店舗だそうだ。
「アルコール販売」も当然、購買点数を増やす戦略の一つだし、またアルコールは利益率も高い。
しかし、今年話題になった「飲酒運転問題」のリスクもあるし、アルコールが占める売上自体も全売上の1%程度なので、売り上げに対する影響はないと踏んだのだろう。


顧客単価を上げる戦略を考える上で重要なのは、お客さんの趣向、ニーズ、要望に合わせて最適な組み合わせを企画し、それを検証して改善していくことなのだろう。