<消費税は日本弱体化装置?!>
「消費税は日本弱体化装置である」という主張に賛成する立場から見ると、最大の論点は“需要抑制装置”として機能してきた点にある。
日本経済は1990年代後半以降、慢性的な需要不足に悩まされてきた。
そうした環境下で1997年に消費税率が3%から5%へ引き上げられた直後、個人消費は急減速し、景気は失速、金融不安も重なりデフレが深刻化した。
2014年の8%への増税時も、駆け込み需要の反動減でGDPは大きく落ち込み、実質賃金は低下した。
2019年の10%引き上げでも同様の消費減退が確認されている。
景気が十分に回復しない局面で繰り返された増税は、家計の購買力を削ぎ、企業に価格引き上げや賃上げを躊躇させる構造を固定化させた。
消費税は逆進性が強い。
年収300万円の世帯も1000万円の世帯も同じ税率で負担するため、可処分所得に占める負担割合は低所得層ほど重くなる。
結果として消費性向の高い層の支出が抑えられ、国内市場が縮小する。
企業は「売れないから値上げできない」、「値上げできないから賃上げできない」という循環に陥り、内部留保を積み増す防御型経営を続けてきた。
需要不足下での増税は、経済の血流を細らせる“装置”として作用したと評価できる。
<日本の平均年収が30年間上がらない理由>
では、なぜ日本の平均年収は30年近く上がらないのか。
第一に、長期デフレによる名目賃金の抑制である。
米国ではIT革命やGAFAの成長により高付加価値分野の賃金が押し上げられた。
中国も急速な工業化と都市化で賃金水準を引き上げた。
一方、日本は価格が上がらない社会を“安定”と捉え、企業も賃金よりコスト管理を優先してきた。
第二に、労働市場の構造変化がある。
1990年代後半以降、非正規雇用比率は上昇し、全体の平均賃金を押し下げた。
企業は需要が弱い中で固定費を抑えるため、正規雇用よりも柔軟な雇用形態を選択した。
これは企業にとって合理的判断であっても、国全体の所得水準にはマイナスに働いた。
第三に、生産性向上の停滞だ。
デジタル投資の遅れ、中小企業の低収益構造、過度な価格競争などが、付加価値の拡大を妨げた。
欧米がソフトウェアや金融、プラットフォーム産業で利益を拡大する中、日本は内需依存と既存産業の延命に力点を置き、新陳代謝が進まなかった。
そして第四に、政策の一貫性の欠如である。
金融緩和で景気を下支えしつつ、増税で需要を冷やすという“アクセルとブレーキ”の同時踏みが繰り返された。結果として家計も企業も将来不安を抱え、消費と投資を控える心理が強まった。
消費税が全ての原因とは言えない。
しかし、需要不足下で家計を直接圧迫する税を引き上げ続けたことが、賃金上昇の芽を摘み、企業の守りの経営を固定化させ、日本の平均年収停滞に拍車をかけたとの見方は十分に説得力を持つ。
経済を強くするには、まず国内需要を拡大し、賃金が上がる循環を取り戻す必要がある。
その観点からすれば、消費税は“弱体化装置”として機能してきたという批判は、無視できない現実を突いている。
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