環境パフォーマンスとは、組織が環境方針および目的・目標を達成する上で、環境マネジメントシステムを通じて得られる成果を指します。

ゴムやプラスチック製造業では、主原料が石油化学由来であり、製造工程においても加熱、押出、射出成形などエネルギー多消費型のプロセスを含みます。

さらに、揮発性有機化合物(VOC)の排出、廃プラスチックの発生、添加剤(可塑剤・安定剤等)の化学的影響といった固有の環境側面を持ちます。

 

したがって、この業種の環境パフォーマンスとは、資源とエネルギー効率の改善、排出物の管理、廃棄物削減と再資源化、製品ライフサイクルを含めた環境影響の低減度合いを包括的に示すものです。

 

《環境パフォーマンスの具体例と取組み方》

【例1】廃プラスチック発生量の削減とリサイクル率向上

<指標>

発生廃プラスチック量(t/年)、再利用率(%)

<取組み方>

・成形不良品や端材を粉砕して再投入するクローズドループの確立

・マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルの導入

・工程内歩留まり改善をKPI管理し、部署単位で削減目標を設定

 

【例2】VOC排出の管理

<指標>

VOC排出量(kg/月)、大気濃度(ppm)

<取組み方>

・水性系インキや無溶剤型接着剤への代替

・換気システムや活性炭吸着装置の設置による排出抑制

・漏洩検知システムによる作業環境中濃度の常時監視

 

【例3】エネルギー効率改善とCO2排出削減

<指標>

エネルギー使用原単位(kWh/t製品)、CO2排出量(t-CO2/年)

<取組み方>

・成形機にインバーター制御やサーボモーターを採用

・乾燥炉や押出機の排熱回収による再利用

・ISO50001を統合運用し、エネルギーKPIを部門別に可視化

 

【例4】水資源利用と排水管理

<指標>

水使用量(m3/年)、排水中のSS・COD濃度

<取組み方>

・冷却水の循環再利用とクローズドループ化

・排水処理設備に凝集沈殿・膜処理を組み合わせて高水準で管理

・年次で水使用原単位を見直し、省水型設備を導入

 

【例5】製品設計における環境配慮

<指標>

再生材使用比率(%)、製品ライフサイクルの炭素フットプリント

<取組み方>

・バイオプラスチックやリサイクルゴムの採用

・LCAによる製品評価を行い、環境負荷の小さい材料選択

・顧客との協働による包装材削減、リサイクル設計の推進

 

<結論>

ゴムおよびプラスチック製造業における環境パフォーマンスは、単に工場からの排出物や廃棄物を減らすことではなく、「資源循環」「省エネルギー」「有害物質管理」「製品ライフサイクル全体での環境影響低減」を総合的に改善していく度合いで測られます。

ISO14001のフレームワークを用い、定量的な指標(KPI)を設定し、モニタリング・レビュー・改善を繰り返すことで、企業は環境負荷の低減と事業競争力の両立を実現できます。

さらに、循環経済や脱炭素社会への対応を積極的に示すことが、顧客や地域社会との信頼を高め、持続可能な成長を可能にします。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ979号より)
 

 

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