2026年1月9日付のロイター通信が、
『イオン、クスリのアオキHDとの資本業務提携を解約 「自社理念に反する」』
と題した記事を報じていました。
以下に、この記事を引用し、資本業務提携の解約の背景(真の目的)およびイオンとクスリのアオキHDへの影響について考察しました。
《記事の引用》
イオンは2026年1月9日、クスリのアオキホールディングスとの資本業務提携に関する覚書を、同日付で解約したと発表した。
理由としてイオンは、アオキの企業統治(ガバナンス)に対する姿勢が、社会的責任や経営の透明性を重視する自社の考え方と相いれず、提携継続が株主にとってリスクになると判断したと説明している。
具体的には、アオキが東証スタンダード市場への市場区分変更を申請した点や、臨時株主総会の議案内容を十分に示さないまま基準日を設定した点について、株主への説明が不十分だと指摘した。
両社は2003年1月に資本業務提携の覚書を締結し、20年以上にわたり関係を続けてきた。
イオンはアオキ株の約10.2%を保有し、イオン傘下のツルハホールディングスも約5%を保有していたため、グループ全体の議決権比率は約15%に達していた。
この結果、アオキはイオンの持ち分法適用会社となったが、アオキ側はこれを嫌い、イオン派遣取締役の辞任や議決権比率の引き下げを求めてきたという。
イオンは今回の解約により、ドラッグストア戦略について幅広い選択肢を確保しつつ、大株主としての責任は引き続き果たすとしている。
(引用、ここまで)
《筆者の考察》
<解約の背景(真の目的)と両社への影響>
今回の提携解約は、表向きは「ガバナンスと透明性」を理由としているが、真の背景にはドラッグストア業界の構造変化と主導権争いがある。
業界は寡占化が進み、食品を強化した「フード&ドラッグ」型が地方市場で強い存在感を示してきた。
クスリのアオキはその代表格であり、イオンにとっては本来、最も取り込みたい存在だった。
一方、イオンはツルハやウエルシアホールディングスを軸に巨大連合を形成し、業界覇権を狙ってきた。
アオキ側から見れば、提携を続けるほどイオンの影響力が強まり、独立性が損なわれかねない。持ち分法適用や取締役派遣への強い反発は、その危機感の表れだろう。
イオンにとって今回の解約は「撤退」ではなく「戦略の切り替え」と見るべきだ。
アオキとの関係が固定化することで、他のM&Aや再編の選択肢が狭まることを避け、自由度を取り戻す狙いがある。
同時に、ガバナンスを前面に出すことで「巨大資本による囲い込み」という批判を和らげる意図も透ける。
一方のアオキは、イオン色を排し、独自路線を明確にすることで地方スーパー型ドラッグとしての強みをさらに磨く可能性が高い。
PB開発や中小スーパーの取り込みを加速させれば、イオンにとっては新たな競合として脅威が増すことになる。
結果として、今回の解約は両社の対立というより、業界再編の次章の始まりだ。
今後は両社がそれぞれ新たな提携相手を探し、M&Aが一段と活発化する可能性が高い。
消費者にとっては多様な業態が残る余地がある一方、寡占が進めば価格や取引条件の硬直化というリスクも伴う。
まさに、力と統治のバランスが問われる局面に入ったと言える。
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