8月11日は大圓朝(三遊亭圓朝)の命日。
当日には行けませんでしたが、翌日、お墓参りに行かせていただきました。
谷中の全生庵。
毎年8月中は圓朝コレクションの幽霊画が拝観できます。
中でも一番のお気に入りは鰭崎英朋・画「蚊帳の前の幽霊」です。
有名な「牡丹燈籠」のお露さんを描いたとされておりますが、
何とも妖しく美しい幽霊で、見るたびに魅了されます。
一年に一度だけ、お逢いできるのです。
今年も逢いに来ましたよとご挨拶。
ここにはあの有名な「応挙の幽霊」もあるのですが、
「応挙の幽霊」は弟子たちが写したものが数多く出回って、
どれが本当に円山応挙のものか、わからないようです。
新デザインの手ぬぐいと栞をお土産に。
そして、大圓朝のお墓をお参り。
私を落語沼にハメた、あの「死神」もこの大圓朝作なのです。
あの噺は長いので最近はずっと演らせてもらっておりませんが、
以前は「死神」を演る前はこの墓前で、「うまく演れますように」とお祈りしておりました。
また演ってみたいなぁ。
「死神」のサゲ(オチ)は演者によってオリジナルなものがいろいろありますが、
私はやはり小学生の時に初めて聴いた三遊亭圓生さんが一番好きです。
あれが私の落語の原点です。
と、全生庵の前の「さんさき坂」は、あの「牡丹燈籠」のお露さんとお米さんが
新三郎のもとへ夜な夜な通ってきた坂。カランコロンと。つまり、足があった!?
下駄の音 やがて近づく 夏柳 扇喬
で、暑い暑いと言いながら、せっかく来たのだからと谷中で蕎麦をたぐり、
今年もひみつ堂のかき氷は食べられず、
寄ろうと思っていたカヤバ珈琲も休業中とあって、谷中探索もそこまで。
しかし、いま考えるとあの狭い全生庵の中で、以前は円朝まつり(現・謝楽祭)を
やってたんですよね。しかも8月の酷暑のこの時期に。
今なら本当に倒れる人続出じゃないでしょうか。
まあ、あの頃は今ほど落語ブームでもなく、のんびりしててよかったんですけどねー。
夏の鈴本とともに、このお墓参りと幽霊画も夏の年中行事であります。
また来年、ね。