「竜二」余談です。
19年前、2003年5月に愛媛朝日テレビで
「男になるんだ~俳優 金子正次の生涯」という、
金子さんのドキュメント番組が放送されました。
「竜二forever」の後です。
詳細は記憶にないのですが、
ある日突然、愛媛のテレビ局のディレクターさんから、
取材させてくれないかとメールが着ました。
当時はまだインターネットがそれほど普及しておらず、
もちろんSNSなんて無い時代でしたが、私は個人的にHPを作って、
自分の趣味の話などを日々アップしていました。
その中でかなり「竜二」について熱い想いを語っていたのでしょう。
それを見て、わざわざ愛媛から取材に来てくださり、「竜二ファン」として
インタビューに答えさせていただきました(会社の前の広場でした)。
この番組はローカル局が作ったこともあり、当然東京でも放送は無かったのですが、
「竜二」や金子さんのファンの間では幻のドキュメント番組として
その後かなり話題になっていたようです。
映画「竜二」の当初の監督であった吉田さんやカメラマンの川越さん、
共演された桜金造さんほか、大杉漣さんや津和地の金子さんのご母堂様など、
非常に貴重な話が聞けます。
今回のイベントを機に見直してみましたが、いま見ると私も若く、
かなりわかったようなことを話していて、恥ずかしくなりますが・・・
まあ、いい思い出です。
「男になるんだ」。
確かにそんな思いが、映画「竜二」を観た20代の頃、私にもあったんだと思います。
大学進学を拒否して、演劇の学校に進み、役者になってやると思っていたあの頃。
「待ってろよ」-。
金子さんの言葉に強烈に共感したのだと思います。
商業劇団の下っ端で、地方を回ったりもしていましたが、
芝居という「ヤクザ」な世界には不安しかなく、結局回り道をしつつも大学に入り、
「カタギ」の世界を歩くことになったのです。
そこまでの度胸も才能もなかったのです。
だからこそ、自分の行けなかった道を行った、「竜二」に、
そして金子正次に、憧れたのかもしれません。
花城竜二と金子正次。
それはやはり別のものであって、また、ひとつのものでもあるのです、私の中では。
金子さん、永遠に追いつけない存在。
だからこそ、40年経った今でも追い続けているのです。
「花の都に憧れて 飛んできました一羽鳥
ちりめん三尺ぱらりと散って 花の都は大東京です・・・」
今でも目をつぶれば聞こえてきます、竜二のあの声が・・・。