北山修先生の「ハブられても生き残るための深層心理学」読了いたしました。
北山先生は、精神科医として、「人生を劇としてとらえる見方」を重要視します。
これを「劇的視点」と呼んでいます。
ちなみにミュージシャン・きたやまおさむとしても、
「人生という劇場」(作詞:きたやまおさむ 作曲:加藤和彦)という曲を歌っています。
この本は、ひらがな表記の「きたやまおさむ」としての著作ということで、専門書ではなく、
一般の人向けに書かれた深層心理学の本です。
北山先生が臨床で学ばれたこと、
ステージできたやまおさむとしてレクチャーしてきた浮世絵や日本文学、異類婚姻説話から
導き出される、心の裏と表、人生の在り方をわかりやすく解説しています。
そして、この本の中で、「心の楽屋」について、以下の様に書かれています。
「実際の演劇には、観客に見せる舞台だけでなく、役から降りて素顔にもどることの
できる楽屋があります。
そして、人生にもこの楽屋に相当する部分がぜひとも必要なのです。」(P16)
「人生を劇として考えた場合、それを劇として成立させるには、実人生においても
楽屋が必要なのです。
演じ、観客から見られている舞台から降りて、一人でホッと一息つける場所。
人の眼を気にせずに素顔になれる場所。そうした『心の楽屋』が現実の世の中に
おいても必要なのです。」(P162)
以前このブログにも書きました映画「ドライブ・マイ・カー」の主人公・家福は、
その「心の楽屋」を持てず、すべてを抱え込んでしまったことが悲劇でした。
しかもその主人公が舞台役者だったというところがまた何とも皮肉な物語でした。
話が逸れました。
さて、この「心の楽屋」。
現代人から失われつつある大切な場所、それが「お話聴きます」の「聴き屋」の場所なのです。
人生という舞台の上で、親を演じ、子を演じ、父を演じ、母を演じ、夫を演じ、妻を演じ、
会社員を演じ、主婦を演じ・・・
そんな舞台を降りて、何の配役もない、「ひとりの自分」としての想いをさらけ出す、
吐き出す、語る場所、そんな「心の楽屋」になることが「聴き屋」としての私の天職であり、
今生の役割なのだという思い、確信があります。
どうぞ、舞台を降りて、舞台メイクを落としに来てください。
台本のセリフではない、役を降りたあなたの言葉を聴かせてください。
美味しいお茶を煎れて、お待ちしてます。
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