悪名高くて有名な読解問題がある。
それがこれだ。多分見たことがあると思うが、この問題は日本語として致命的な欠陥があり、人に読ませる文章にも問題文にもなっていない。
前半部分は分かるが、後半を読んだ瞬間全く理解不能になってしまう恐るべき悪文だ。
知識があれば分かりやすいかもしれないが、だとするとそれは読解力とは関係なくなってしまう。そして知識がないと何通りもの解釈ができるせいで頭が混乱する。
なのでこの文章は読解力を問う問題として成立していない。
まず「同じグルコースからできていても」という表現を読んだ瞬間頭の中が???で埋め尽くされる。
この意味不明な言葉のせいで多数の解釈ができてしまう。
同じグルコースとは、
・全く同一のグルコース?
・同じグルコースが別にある?
・同じつながり方をした別のグルコース?
・同じグルコースからできたのなら、デンプンの形も一緒であってつながり方が違うだけなのではないか?
・同じグルコースからできていてもという表現から、違うグルコースからできることもあり得るということか?
・同じ「く」グルコースからできていてもと書こうとしたが誤字脱字だった?
など、文章も分からない上にグルコースという知識を知らなければ無数の解釈が可能になり、混乱が生じる。
同じグルコースがあるなら違うグルコースがあるのか?じゃあ違うグルコースとはなんだ?
同じグルコースからできていても形が違うということは繋がり方が違うのか?だったら形自体は一緒なのか?
などと永遠に分からないことを考え続けてしまう。
仕方ないのでこの部分は読み飛ばす。
最後に「形が違うセルロースは分解できない。」という文章が来るが、この文もバカすぎて話にならない。
この問題ではセルロースと形が違う物を文意に合うように選ぶ必要があるのであえて省略しているのだろうが、それにしても略し方が下手すぎて全てが崩壊している。超ヘタクソな叙述トリックの推理小説を読んでいるかのように腹が立つ😠
都合の悪い部分を不自然に隠したり省略しようとするからこうなる。叙述トリックは自然に隠さないとダメだぞ!
「同じグルコースからできていても」という部分はさっき言った通り意味不明でいくら考えても分からないので省略して自分なりに文章をまとめると、
アミラーゼという酵素はグルコースがつながってできたデンプンを分解することができる。
しかし、アミラーゼと形が違うセルロースという酵素ではデンプンを分解することはできない。
と読み取れる。つまりアミラーゼと形が違い、セルロースという酵素が存在することになってしまう。この答えは間違いだが、セルロースという名の酵素が存在しないことを知らなければこんな解釈もできてしまうわけだ。
いや、セルロースが酵素なわけないだろうがボケ!と思ったヤツはその時点で読解力は関係なくなり、知識や先入観だけで解いただけに過ぎない。
ということになる。
そもそもの話、「形が違うセルロースは分解できない。」の助詞がおかしい。
これのせいでセルロースが主語なのか目的語なのかはっきりしなくなる。
「形が違うセルロースを分解することはできない。」に変更するだけでかなり分かりやすいのだが・・・。
これが悪文と言われる原因の一つだ。まあこれはセルロースが主語なのか目的語なのかの2択なのでまだ考えやすい。
しかし一番の問題は何度も言う通り、「同じグルコースからできていても」の部分だ。この文章を考えたヤツは他人に読ませる気がないか、他人の考慮ができないかのどちらかとしか思えない。でなければこんな分かりづらい言い回しはしないだろう。
この一文のせいで文章全てがカオス化し、混乱させられることになる😵💫
グルコース等の形を知らないので適当に創造させてもらう。
グルコース:⬛︎
グルコースがつながってできたデンプン:⬛︎―⬛︎
同じグルコースからできたはずなのに何故か形が違うセルロース:▲―▲
同じグルコースからできていて、形は同じだが繋がり方が違うセルロース:⬛︎〜⬛︎
…やはり意味不明だ。全く同じグルコースからできたはずなのに突然変異している。デンプンとセルロースの形は同じな方がしっくり来るし、セルロースという酵素が存在し、アミラーゼと形が違うためにデンプンを分解できないと読み解く方が納得できる。なぜ形が違うと分解できなくなるのかは知る由もないが・・・。
この問題の答えは①のデンプンだが、デンプン1択しかないだろうが!と思ったヤツの方がむしろ危ういように思える。知識や先入観で正解した可能性が高く、この分かりにくい文章を読んで答えは1つしかないと断定できる方がおかしいと個人的には思う。普通は迷ったり悩んだりするはずだ。文章の書き方が悪質なわけだからな。
要するにこの問題は文章にすらなっておらず、読解力を問える問題にもなっていないということだ。
これを間違えたからと言って何も気にすることはないし、正解したヤツもたまたま知識があったので迷わず答えられたケースがあるため、正誤は関係ない。
まあこれを読んで③のグルコースや④の酵素だと思ったなら読解力に問題があるかもしれないが、多分適当に選んで間違えただけだろう。
ではこれを踏まえて問題を出そう。
アミラーゼという酵素はグルコースがつながってできたデンプンを分解するが、形が違うセルロースは分解できない。
この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる適当なものを選択肢のうちから全て選びなさい。
アミラーゼ以外に酵素は( )個存在する。
①0 ②1 ③2 ④3
答えは
①と②です。
何度も言うようにセルロースという酵素が存在する可能性をこの文章からは否定できないので、酵素がアミラーゼだけのパターンもあるし、アミラーゼとセルロースの2つあるパターンも考えられる。
なので、この文章中に酵素はアミラーゼ以外にないか、または1つあるのが正しい。知識のあるヤツにはこの発想は出ないだろうが・・・。
誰でも分かる簡単な文章だと読解問題にならない。
とはいえ分かりにくくし過ぎるのも問題だ。
問題作成や出題ミスは作り手にも当然起こり得るが、その難易度や理不尽さはゲームを作るときのようにちゃんと客観的にテストプレイをするべきだろう。