【ゲーム評論】かまいたちの夜 輪廻彩声 | ゲーム脳のクソゲー人生(ベリーハード)

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主に改造ゲーの紹介がしたい

金の栞まで出したので総評でも書くとするか。
プレイ時間:約9時間(選択肢を全て埋めるにはあと1~2時間かかるか?)
 
 演出度:★★★★
 恐怖度:★★★
追加要素:★
 作画度:★★★★
 声優度:★★★★
 
このゲームに得点をつけるなら75点ぐらいと言ったところか。
初代のSFC版は90点、PS1版は95点だとオレは思っているので、歴史に残る神ゲーであることは間違いない。なのでこのリメイク版も当然いい作品に決まっている。
しかし・・・やはり経験者からするとこのリメイク版の追加要素は少なすぎてボリューム不足と言わざるを得ない。無論犯人やトリックを知らない未プレイ者には断然オススメできる神作であることは保証するが。
 
追加シナリオは当然謎もあるし感動もするものの、オカルト要素が強すぎてもはや何でもありの世界になってしまっているのが少し悔やまれるか。決して悪いシナリオではないが、選択肢もない一本道(一応選択肢は存在する)であるのと、非現実的な部分が多くて謎を出す意味があまりないのが惜しい点だ。しかし公式設定ではないだろうが、ヒロインの性格や内面にまで踏み込んだ点は評価できるかもしれない。
 
もう一つ、「A Novel編」のストーリーも追加収録されているが、これは携帯アプリ版にあったシナリオなのでリメイク版からの追加要素ではない。これも選択肢がなく、勝手に主人公が推理して解決してしまう。一応読者への挑戦は出てくるので手がかりがすべて揃ったタイミングは分かる。
 
連続殺人については、やはりというべきか恐怖感はやや薄れているように感じられる。まず萌え絵な上に、こちらは犯人もトリックも全て分かっているので仕方ない部分はあるが、初めてプレイするなら怖いと思う。犯人が誰か分からないのは何よりの恐怖だ。
一応死体のグロさは多少あるが、そこまで死体のイラストが多くないのが難点かもしれない。
あと、女性の悲鳴もやはり初代の方が怖かった。もっと死にそうな悲鳴をあげてほしかったなーというのがある。それと、ヒロインの死亡シーンではやたらと白目むいてんなーと思った。いや、別にいいのだが。
 
声優と作画は割と好きかなと思う。ヒロインはやたら寒そうな格好をしているが可愛いし何より谷間が良いです。本作のお色気担当はヒロインかもしれない。一応全裸になるシーンもあるし、いいんじゃないか?うん。あとは声優も明坂聡美や本多真梨子あたりが好きなので個人的には満足か。仙台エリも好きだが。特にスパイ編では登場人物の声のトーンなどが全然違ったりするから演技力はすごいと思う。
 
暗号編から入れる陰謀編は少し謎解きが変わっていた。つーか分からなかった。明らかに文章の文字の間隔がいつもと違う部分があるのでそこに暗号があるのは分かるが、「助けてくれ!」という縦読みの暗号しか読めず、何度も文章を巻き戻していたらたまたま正解にたどり着いてしまった。
 
【総評】
このリメイク作は経験者からすると物足りない部分がある。なので個人的な点数としては75点にさせてもらった。しかし未プレイ者にとっては十分なボリュームと恐怖感があり90点以上の神作であろう。サウンドノベルというジャンルを生み出した革命的作品であり、衝撃と恐怖と感動を味わわせてくれた超名作である。オレは「かまいたちの夜」というゲームをプレイできたことに感謝しているしこのゲームに尊敬の念さえ抱いている。なのでやったことのないプレイヤーはこの機会にぜひこのゲームに手を伸ばしてもらいたいと思っている。
 
 
 
ここで終わりにしてもいいが、昔から疑問を抱いていたことがあるのでそれも話したいと思う。
 
多少のネタバレを含むのでそれが嫌ならここで戻った方がいいだろう。
 
 
 
 
疑問点というのは当然ミステリー編の皆殺しルートのことである。
というのも犯人があまりにも神出鬼没すぎるのだ。確かに殺しに関してはプロかもしれないが、あれだけ人を殺しておいて返り血を浴びた描写も無いし、わずかな時間で部屋の中にいたOL3人組を殺害している。しかもナイフでめった刺しにしたり首の骨を折ったりしている。主人公も言っていたが、女性3人を悲鳴を上げさせずに一気に殺すのはどう考えても無理がある。さらにとあるバッドエンドルートでは、主人公が廊下に出て耳をすませながらOL3人組の部屋に行くシーンがあるのだが、何故かその間に犯人がこっそり廊下に出て来てヒロインを殺害している。主人公がOL達と話していたとはいえ、あれだけ警戒しながら行動していたにも関わらず犯人は普通にヒロインのいる部屋に侵入している。2階の廊下は一直線になっているので、犯人が廊下に出た瞬間気付くはずだが・・・。それから、1階の玄関で死体を発見した後2階の廊下から悲鳴が聞こえ、階段そばに新たな死体が横たわっているシーンもあるが・・・。絶対下から見上げたら分かるはずだ。犯人の姿は見えないかもしれないが少なくとも被害者の倒れる瞬間は見えてもおかしくない。とにかく犯人の神出鬼没性は異常だ。より恐怖感を与えるためにそういう描写をしたのだろうが、物理的に考えて不可能で不自然なことが多すぎるような気がしてならない。
 
あと誰でも思ったことだろうが、事件現場を調べに行く際選択肢を誤ると犯人に殺されるバッドエンドがあるが、どう考えてもあのタイミングで殺す必要はないし、何より廊下で人を殴り殺したら音で下にいる人間に犯行がバレるし、仮にバレないとしても3人行って2人死んだら残った1人が犯人に決まっていて言い逃れのしようがない。多分そのバッドエンド後に犯人はそのまま1階にいる全員を皆殺しにしただろうと思われるが・・・。
 
いくら名作でも突っ込みどころは出てくるものだな。欲を言うなら皆殺しの際にも現実的にやって欲しかった。一応その時にも死んだふりをするトリックを使ってはいるが、他の皆は必要以上に惨殺されているのに対してその人物だけは明らかな致命傷を受けていないし、かなり怪しいのだ。まあヒントを与えないとプレイヤーが犯人の目星すら見当が付かないのであからさまなヒントを与えた可能性があるということはゲームカタログ@wikiのサイトにも書いてあるが。
 
とは言え犯人やストーリーの展開が分かっていても十分怖いのでそこはさすがと言ったところか。分かっているのに夜中にトイレに行くのがやたら怖くなるのはもう凄いとしか言いようがない。悪魔や幽霊などは全く怖くないが真に怖いのは人間の悪意であるということが良ーく分かる。このゲームの面白さは犯人当てではなく1人ずつ皆殺しにされるサスペンス性・恐怖感である。無感情なオレをここまで怖がらせてくれたこのゲームに対して本当に礼が言いたい。
 
ここまでにしておこう。このゲームはゲーマーなら必ずプレイするべきだと思う。また、このゲームを知らないのは人生の何パーセントかを損している。そう思えるぐらいこのゲームは名作である。