依頼人(4)そうかもしれない(前編) | IGOSHI・WALKER’s THIS IS ME =井越歩夢は書く語る=

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井越歩夢(IGOSHI・WALKER)

ライトノベル作家・ブログ小説家・AI生成イラスト・AI生成文書技師

そんなこの私のつらつらと思うまま徒然なるままに何か何かを書く語る場所である


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黄泉野カレンは悪気を捌く
依頼人(4)そうかもしれない(前編)

 

クラシックミニの排気音。そして排ガスの香り。排ガスを香りというのはどうかと考える、そういう人もいるだろう。だがしかし、私的にこれは香りだ。まあ、そんな私にも苦手な排ガスの香りというものも、あるにはあるのだが・・・今はそれは置いておこう。今は好意的な状態事象状況それらを優しく語りたい。

 

私は黄泉野カレン。車は持っていない。買い物と思えば徒歩数分で複合型商業施設もあるし、駅も近い。遠くへの移動は専ら電車。自分で運転するものと言えば趣味としてバイク。私の見た目から意外と言われるのだが、私の趣味の一つはバイクに、愛車であるスズキGSX250R(白)に乗ってゆっくりと走ること、だ。

もう一度言う。大事な事だからもう一度言わせてもらう。私の趣味の一つは愛車GSX250Rに乗ってゆっくり走ること、だ。

そして今私は、特に予定のない、天気が良く冬とは思えない日差しの強い月曜という休日に2024年のGSX250Rの初走りへと、近場への軽いツーリングに出掛けているところだ。

 

250ccの割に低い排気音と中型とは思えない安定感。スポーツバイクらしからぬ楽なライディングポジション。その全て、私にとって丁度いい。ヘルメットを被っていて外から見えないのを良いことに、自然に満面の笑みと鼻歌を溢れさせてくれる。

そんな中ふと昨年末頃友人原アイラと飲んでいる時にしていた会話を思い出した。

「バイクは孤独を楽しめる。だから好きだ。」

私は見ていないのだが映画シン・仮面ライダーの中でのセリフとのことだ。うん、いい言葉だ。アイラが、あのアイラが感涙するのもよく分かる。その気持ちはよく分かる。だが、それはそれとして、私的にはバイクに乗る時、GSXというパートナーと二人きりで気持ち良い時間を過ごしているように思っている。二人きりで気持ちいい時間・・・まあまあ、解釈、想像、それらは個々に任せるとして、まあまあまあまあ季節は冬でもこの時間は私にとって、いや、私たちにとって気持ちよさを共有する時間。ソロツーリングという私は「彼」と二人きりの時間を楽しむのだ。

 

1時間ほどの気持ちいい時間の余韻に浸りながら私は道の駅で休憩を取ることにした。

バイク専用の駐車場のあるこの道の駅。そして・・・私の気のせいかも知れない話なのだが、複数の道の駅、パーキングエリア、サービスエリアのバイク専用の駐車場の近辺に「喫煙場」がある、そんな気がしている。そしてここもそれに違わずバイクの駐車場から5段の階段を登ったところにそれはある。愛煙家としてはありがたいことだ。

彼を停めた私はヘルメットとグローブを外しメガネを掛けて早速煙草という嗜好物を楽しむ時間をとることにした。

 

 

喫煙場までの5段の階段を登り、ほっと息をつきそしてポケットからタバコを取り出しそれに愛用のジッポで火をつける。そして今度はタバコの煙と共にほっと一息。そして喫煙場から見える私の彼、私の愛車、私のバイクに視線を向けた。相変わらず、うん、私の贔屓目も十分ある。それも承知で言わせてもらうと、控えめにいって良い男だ。思わず笑みもこぼれてしまう。

・・・なんだろう、この思考を、もしもこの思考を誰かに気付かれたとしたらきっと「変な女」と眉を顰めて距離を置かれることだろう。だがしかしそうであればそれでいい。あえて受け入れ認めよう。誰にでも彼にでも、趣味趣向というものは様々だ。自分のバイクを「イケメン彼氏」と表現する私だが、私と同じように「可愛い彼女」と表現している男性もいるかもしれないし、他にも様々な表現で様々なるそのものに愛情を表現していると、私は私の勝手でそう思っている。

そんなことを思いながら彼を眺めている至福の煙草時間。そんなときふと道の駅に入ってきた一台の車に私は視線を送ることになった。

 

それは赤色のクラシックミニ。小気味の良い排気音を奏でながらその車はバイク駐車場の1番近くの駐車場に、ゆっくりと華麗に止まった。その動きは車体そのものから年齢を重ね人生の深みを感じさせる優しい色の佇まいを感じさせる。そんな印象だった。そして、この喫煙場の近くに車を停めたということは、オーナーは想像するに、愛煙家なのだろう、と私は車を降りるそのオーナーの姿に視線を送っていた。

降りてきたのは見た感じ50台後半から60代前半ほどの年齢の男性かな、と私は私の勝手な視点で見ていた。

ニットの帽子を被り、厚手の赤色のネルシャツに使い込み感のあるデニムのパンツ。白髪混じりの無精髭。丸眼鏡。それらをまとめて「おしゃれなおじさん」と表現しよう。

彼は車のドアを丁寧に閉じ、喫煙場を確認し、そして階段を5段登ってこちらに足を進める。そんな様子を見ながら私は軽く会釈をし笑顔を投げかけた。

「こんにちわ。」

「こんにちわ。寒いのにバイクですか。」

「はい、これしか持っていないので。」

そんな会話から、私たちは初対面の会話を始めたのだった。

 

うん。この話はまだまだ長くなりそうだ。

この続きはまた来週にするとしよう。

 

クラシックミニの排気音。そして排ガスの香り。排ガスを香りというのはどうかと考える、そういう人もいるだろう。だがしかし、私的にこれは香りだ。まあ、そんな私にも苦手な排ガスの香りというものも、あるにはあるのだが・・・今はそれは置いておこう。今は好意的な状態事象状況それらを優しく語りたい。

 

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