今日、N〇Kのクローズアップ現代で、貴重なインタビューを観ました。

インタビューされたのは、佐藤 優さん。

佐藤優でググると(さとう まさる、1960年〈昭和35年〉1月18日 - )は、日本の作家、元外交官。 同志社大学神学部客員教授、静岡文化芸術大学招聘客員教授。 学位は神学修士(同志社大学・1985年)。 在ロシア日本国大使館三等書記官、外務省国際情報局分析第一課主任分析官、外務省大臣官房総務課課長補佐を歴任... と出てきます。


 

satom



かなり以前、雑誌の書籍紹介か何かで彼の本ことを知り、興味深いと思って購入したのが『国家の崩壊』。内容はすごいものでした。
『国家の崩壊』の内容については書評などを参考していただくとして―

佐藤氏は、外務省のソ連担当情報分析官だったの外交官512日間の拘置所
佐藤さんは2002年、背任と偽計業務妨害の罪で逮捕起訴され、東京拘置所に512日間勾留された方です。裁判で佐藤さんは「違法行為は一切行っていない」「国策捜査だ」などとして、一貫して無罪を主張しています。

 

kokkanohoukai




昔、軍国主義に反対して牢に入れられたある人が、“主義のために牢屋に入った人間は信用できる”とかいったことを言ったと読んだことがあります。
佐藤氏が、無実かどうかは置いておくとして、佐藤氏は国家権力によって逮捕・拘束されたわけで、国家権力の怖さというのは身に染みて理解されているはず。
国家権力から私たちの自由を守るために何が必要かをあらためて考える機会になります。



 

kokkano





クローズアップ現代では、『新時代へのエール』などとタイトルをつけていましたけど、新時代への警鐘にした方がいいと思うインタビュー内容でした。

 


 


論理的思考力

佐藤氏が、常に言っているのが、論理的思考の重要性・必要性です。

「スキルを学ぶ前に、論理的に考える力を磨け」。即戦力とはならないが、物事を理性(ratio)を用いて合理的(rational)に理解し、考え、知識や情報を扱う力を身に付けることが重要だ。」
 

「なぜ論理的思考力を身に付ける必要があるのか。大きく2つの理由が挙げられる。まず1つは、それがなければ何事に対しても正しく理解し、知識を吸収することができないからだ。都合のよい解釈をしたり、一読して「何となくわかった気」になってしまう。あるいは教材を繰り返し読んでも内容が身に付かない。」
“正しく理解し、知識を吸収する”って、最近の人ってあまりこんなことしない気がします。
スマホでニュース速報を見て、テレビで表層的なニュースやキャスターによる解説などを見て「わかった」つもりになっている。
 

「もう1つの理由は、私たちが好むと好まざるとにかかわらず、この近代世界が基本的に、ヨーロッパ発の論理の力によって動いているからである。ヨーロッパでは、何かを考えるとき、何か行動を起こすときは必ず「何をめざすか」「何を終わりとするか」という目的を先に設定し、その後、目的にたどり着くまでの道筋を組み立てていく。」

 

たしかに。世界は、米国にせよロシアにせよ、ヨーロッパで生まれ発展して来た論理、思想をベースに動いていますからね。

 




ほかにも佐藤氏は― 

スローガンを先行させずにリアリズムで見る

中国と台湾の問題などについて
などと述べ、中国はロシアがウクライナに侵略して、世界中の民主国家からソッポを向かれ大へんな目にあっている。それを中国の指導者は見ているはずだ。
だから、表向きにはいつでも軍事力で台湾を占領できると言っているが、実際に実行するのはかなり難しいと指摘。


情緒的な議論が先行すると国益を失う
これは、特に日本の政治家に聞いて欲しい言葉です。


佐藤氏、実はTV番組には出たことがないそうです。
その理由として―
 

竹村健一氏から「TVに出ないほうがいい。実は私は、TVと書籍の両方をやろうと思ったんだけど、結局できなかった。TVという媒体は非常に重要な資質があって、毎回ゼロからスタートする。前回に何を話したか、何を放送したかということにとらわれずに、毎回ゼロから視聴者に向かっていく。これはやはり特別の才能(が必要)で、これは、積み重ねで書いていく作家の仕事とぶつかっちゃうんだ」

「だから作家としてきちんと立っていくならば、テレビは一見、自分の本が売れるようになるんだけども、瞬間風速になっちゃう」

(TVでは)放送する側の都合が良いところが切り取られる。趣旨と違うところが2回ぐらい続いて出たので「これは私の力では扱えるメディアではないな」と、こういう風に思った。



TVのインタビュー番組に出るキッカケの一つに、ご自分の病気を上げています。
佐藤氏の病気のことについては、購読しているある総合雑誌で知っていたのですけど、Lobyも同じ病気を持っていて、いろいろと共感するところがありました。


自民党の派閥のパーティー券問題についても、するどいことを言っています。
これは番組では放送されなかった部分ですけど、すごく重要でマスコミの姿勢と国家側(検察)の構造が見えて来る。
「いろいろなことがあると。こういったことにおいて、私はちょっと、ほかの人と違う視点から見える、こういうことについては世の中に少し伝えていったほうがいいんじゃないかなと。

世の中とちょっと違うことを言うと、それに対していろいろな軋轢もあるんだけども、自分の思っていることを言って、一緒に国民と共に考えていきたいなと。こんなことを思うようになった。」と佐藤氏は言っています。


友人とは?約束を守ることの大事さ。
「できないことを約束しない」「サードパーティールール」等、人生において重要なアドバイスもされています。

佐藤氏は、同志社大学の神学部と大学院神学研究科で学ばれた方で

神学部や神学研究科の卒業生の先生たちが抜群に優秀だったのと同時に、太平洋戦争中に神学部に入った人だから、キリスト教徒だということで弾圧され、徴兵にとられると、(ほかの兵士と比べて)倍ぐらい殴られるわけですよね。そういう覚悟をして入ってきた先生たちなので、ものすごく、生きるということに関して、学問に対して真剣だった。そして、人間的に誠実であれと。特に新島襄という同志社大学を創った人が、『良心』というのを建学の理念にしていた。そのところが神学部ではすごく生きていて、あの神学部の中でいろいろな経験をした。神学部では本当に一生付き合っていくような友人と、それから一生慕うことができて、人格的な関係が続く先生との関係が出来たと。その時の人間関係のあり方を、外交官になってからも続けたという感じ。ことが、その後の佐藤氏の原型となったと言っています。


 

対中国や対ロシアの政策などについても、政治面の表面(おもてづら)と経済的な裏面の差(佐藤氏は“利益の体系と力の体系と言っている)について鋭く指摘していて、とても参考になります。
 

岸田首相に対する評価も目からウロコの感じです。

 

佐藤氏のお母さんは沖縄出身で、14歳の時に沖縄戦を経験していて、その時に日本兵から2個の手りゅう弾を渡されて「捕虜になりそうになったら自爆しろ。不発に備えてもう1発」と命令された。

それで、隠れていた洞窟が米兵に見つかり、手りゅう弾の安全ピンを抜いて自爆しようとした時にある日本兵から「死ぬのは捕虜になってからも出来る」と止められた。その時、自爆していれば、いっしょにいた16人も蜜連れにしていた。

そういうすごい経験をお母さんがされていて、それで命の大切さを教えられたそうです。


 



 

佐藤氏は、中学受験が非常に加速化していることにも言及。

難関中学に合格するためには高校2年生ぐらいまでの知識を詰め込むことが最低条件になっていて、中堅中学に合格するためにも中学3年生ぐらいまでの知識が不可欠になっています。そうすると、中学受験も経験した人とそうでない人の間では、入っている情報量にかなりの違いがある。

外国にいては、日本の受験のことなんてわからないんですけど、それほど日本(の子どもと親たち)は大へんなんだと思いました。

親が躍起になって、高い塾などに子どもを入れるわけですよね。

今の子どもは不幸だなとつくづく思いますね。

Lobyの子ども時代は、それは書道教室とかソロバン教室とかはあったけど、進学教室なんてなかったので、子供たちは毎日遅くまで真っ黒になって外で遊んでいましたからね。



インタビューの内容記事は、こちらを参照

 

 

 

usagi_wave.jpg

ご訪問有難うございます

 

loby50

 

usagi_wave.jpg