本を読んで思ったことをつぶやき。田舎、Countrysideの定義と言語の違いがもたらすイメージの違いについて。




今、40年前に出版された中村良夫さんの風景学入門を読んでいて、冒頭イギリスの湖水地方を訪れた記述があった。


それの中に日本とイギリスの田舎の違いについてかかれていた。

私は熊本市の端っこ、ハウス畑が広がりコンビニは2キロ先にしかないような中にポツンとある新興住宅地で育った。





田舎だけど村っぽい昔ながらの自治会はない、だけど畑には囲まれていて農家の人も多いっていう中途半端な郊外の田舎。

一方で祖父母の家は真の田舎。コンビニなんて10km先にしかない。祖父母も農家で近所はみんな同じお寺にお世話になって毎年法事を頼んだり、お供えをしないといけない。

近くには親戚が沢山住んでいる。毎月のように地域の行事、荒神祭りとかで近所の人と寄り合っておにぎりとか持ち寄って会食、荒神さんの掃除当番もあるし、農繁期にはお互いに手伝いあって乗り切る。

いわゆる、私の”田舎”のスタンダードは祖父母が居た地域。田舎というワードが出たら上に書いたようなことを思い浮かべる。

きっとそれは私の小中学生の友達も同じだと思う。みんなそういう田舎が身近にあった。

それがスタンダードではないと気付いたのは熊本市内中心部の高校に通い始めてからで、そこには熊本でいう都会っ子がたくさんいて、マンション暮らしで農作業なんてしたことないっていう人も多かった。

そしてさらに東京に住んだ時もそう。米がどういうプロセスで炊飯器までたどり着いているのか、考えたこともないっていう人もいた。

知る機会が与えられなかっただけで、その人たちが悪いわけではないというのは大前提で、私が言いたいのは、ついつい自分は自分の知っている田舎を前提に話をしてしまう危うさがあるということ。

それをより顕著感じるようになったのはイギリスに来てから。イギリスに来るまでイギリスの田舎も日本と同じなのではないかと思っていた。

確かに、自然が豊かで、住んでる人が少なくて、交通網が悪くて、町の規模が小さくて、店は少なくて、農家が点在しているという点は似通っていると思う。

だけど、まず第一に住宅事情がてんで違う。日本は少子高齢化、過疎化で空き家問題が加速している中、イギリス、特にイングランド南部のは田舎のコテージなどの価値がかなり高い。建築年数が増えるほど価値が上がっていく。移民が増えて、人口が増えているイギリスの住宅不足という事情も背景にはある。



次に思いつくのが地理。イングランドは高い山が少なく土地が痩せている。じゃがいもが主食なのも納得がいく。一方で日本は農業が盛んで地域ごとに特色がある、例えば熊本はトマトとスイカが有名だったりする。山が多いから棚田があったり、小規模な農家が多い。水が豊富だから米を作ることもできる。



最後に自治会制度。5人組から始まり、戦時中もお互いを監視するため、統制を保つために町内会や自治会が機能して今でも多くの地区で連絡網や清掃、行事などがされている。一方でイギリスはParish Councilという教会区ごとに地元議員がいるものの、政治的な意味合いが強く、必要不可欠な生活機能を維持する日本の自治体とは性格が異なる。

ということで、もちろん私の祖父母の地域のような荒神祭りが頻繁に行われていたり、農業をお互い助け合ったりという話はまだイギリスで聞いたことがない。

イギリスの地方で仕事を始めて、日本はどうなの?と聞かれることが多々ある。違いがあり過ぎて説明が大変と感じる。高校の友達に自分がイメージする田舎を説明する難しさがレベル1だとしたら、イギリス人に説明する難しさはレベル1000。と思っていつも適当に流してしまう笑悪い癖


日本語で田舎
英語ではCountrysideまたはrural area

同じ意味でも中身を紐解けば似通った点もあるけど相違点の方が多いように思う

この同じ意味だけど文化や背景の違いによって同じ定義でないという点で日本でIELTSを勉強している時に苦労したことを思い出した。

例えば質問でどんなパーティーが好き?というものがあって、私はたこパと答えたかったけど、なぜ好きかを説明する前に、外国人に説明するにはまずたこ焼きが何か、日本人は食へのこだわりが強いこと、日本にはたこ焼き器があることなどなどを説明しなければならない。

今でこそイギリスにいてそれが当たり前でないことがわかるけど、日本にいるときはたこ焼きが当たり前すぎて説明する意味すら見出せなかった。

そして先生はhen partyとかbirthday partyとかっていういわゆる西洋のpartyを想像していたようで、それもまたその当時体験したことのない私には想像がつかなかった。


コロナ禍で留学行かなくても日本からオンライン留学して英語のレベルあげればいいじゃんっていう声をちらほら耳にした。

英語を学ぶ目的にもよると思うけど、やはり海外で思想を広げる、自分のスタンダードを知って言葉や物事の定義を広げる、という意味で私自身としてはその国に行ってその国の文化に触れながら言語を学んでコミュニケーションを広げた方がより豊かな知識を得られると思う。

イギリスに来なかったらずっと自分のスタンダードがスタンダードということに気付かないまま死んでたと思う。それでもいいと思うけど、知れて良かったとは思う。

以上。