実は、5番目の記事つまり「集中の法則---」は、「この際少し本題を離れて、全ての戦闘行為で常識とされているものを科学的かつ実践的に考え直してみる必要がある。」という文章で始まります。
要は、航空機云々から離れ、戦争全体を科学的に考察していこうという訳です。
そして、重要な「変化」に言及します。
「古代戦」と「近代戦」における、戦闘力の変化についてです。
「火器という飛び道具を使用するようになった現代は、数の上での優勢が即時に戦力として優勢を誇ることができ、人数的に少ない方は、兵士対兵士でみるよりも、はるかに激しい攻撃を受けることになる。」…
「この違いの重要性は、普通考えられているよりもずっと大きなものであり、この違いこそが、問題全体の核心を含んでいるのであるから、詳細に検討してみることにする。」
と続き、数学的論考をしていきます。
ランチェスター先生は何を言いたかったのか?
近代以降、兵器の発達(射程距離や破壊力)により、戦闘形態が「直接戦」から「間接戦」へ変わりました。そして、ある意味牧歌的、個人の技能や精神力が大きく作用する「一騎打ち戦」をしていた時代と異なり、物量そのものの、数字的意味合いが、我々の想像を超えるくらい大きく作用していることを意識せよ、と先生は言いたいのだと思います。
(このことは、対比として、太平洋戦争における圧倒的物量さを誇る米軍に対する旧日本陸軍のガダルカナルにおける肉弾戦等、あるいは圧倒的資本力に勝る大手企業対零細企業を想起させる)
そして、「戦闘力は、兵員数の2乗に部隊の武器効率をかけたものに比例するものであると定義づけられる。」と法則をまとめ、6回目の記事ではネルソンのトラファルガーの戦い等で検証しています。
ランチェスター先生は、航空機の軍事利用の可能性を主眼に記事を書いていったのですが、18回目の記事に「最も重要だった脱線」としてN2乗法則を上げているように、先生にとっても大いなる発見があったのだと思います。
昨年の10月2日に、私は竹田陽一先生およびランチェスター経営代理店の方々とイギリスを訪れ、ランチェスター先生のお墓参りをしてきました。(1年ってなんて早いんだ!と100年の重み…)
イギリスにおいて、ランチェスター先生は、技術者であり、科学者であり、発明家でもありました。(イギリスで初めてガソリン式の自動車を発明したことで有名)
軍事研究家ではなく、逆にそのような立場にあるからこそ、法則の普遍性が高いように思えます。2014年10月2日

