『ほうき星』 山本一力
天保6年(1835年)、76年に一度現れるほうき星が江戸の空に輝いた夜誕生したさち。
深川で家族の愛情をいっぱい受け、下町の人情に包まれて育つさちを思いがけない不幸が襲う。
両親の突然の死、その後育ててくれた祖母の死。
やがて絵師であった父親の才能を受け継いださちは絵師としての天分を発揮していく。
しかし祖母に託された珊瑚商いへの夢や幼馴染みの幹太郎への思いも高まっていく。
自分の進むべき道の答えを求めて祖母の故郷・土佐へ・・・・。
ほうき星の運命を背負い、人生を切り拓いていった娘の物語です。
さちの両親や祖母の人柄が一人残されたさちを周りの人たちが温かく見守って支えてくれて成長していきます。
さち本人もみんなに愛される素晴らしい娘に成長。
読んでいて温かい気持ちになる1冊でした。
江戸時代の下町に暮らし人々の様子が目に浮かんできました。
まだまだ日本が広くて大地震が起きても地方に住む人がその事を知るには何日もかかってた時代。
江戸から土佐への交通は船旅。
何日もそれこそ命がけで行き来していた時代。
時間が五ツとか八ツというように表記されてるのでちょっと戸惑う部分も・・・。
五ツ(午後八時)と今の時間が書かれているところはすんなり読めるけどないところはちょっと考えてしまう。
一覧にしておいたら便利だろうと思いつつ、結局そのまま読み進めていきました。
江戸ノベルズってあまり読んだことがなかったけど、当時の暮らしにも興味があるしこれからもどんどん読んでいきたいな。