出逢った頃の思い(ハリー編) | Sweet Sweet Love Story(恋愛小説&ときメモGS夢小説&詩)

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詩や恋愛小説とか書いてます。ときメモGSシリーズの夢小説・・・特にハリーこと針谷幸之進くんを中心に書いてます。
いくつになっても恋愛続行☆毎日ワクワク過ごすために☆

いや~ 切ない話が続くとやっぱり悲しいので

昔の回想で ちょっと 甘~く 行っちゃおうかな? 一休みってことで。

今回は ハリー目線で書いてみました。


前に書いた ハリーの音色  にもリンクさせてみました。


ではではどうぞ!
ONEPIECEをめざして(ときメモGS2他夢小説版)-ハリー制服


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そうだった。

あれは高校2年になってすぐの事だった。

アイツと同じクラスになってからの事だ。

アイツ・・・ 小波ようこ とはクラス替えで2年から同じクラスになった。

ただ 1年頃、オレが音楽室で新曲を作ってた時

たまたまアイツがオレの曲を盗み聞きしてたんだよな。

それが初めての出会いだった。

名前を聞いて・・・それで・・・。

とくになんてこともなかった。

よくバッタリ廊下で見かけたりしたアイツは

いつもよく笑ってておもしれぇやつだと思ったくらいだったんだ。

それから 屋上でギターを弾いてる時

歌ってる時

アイツがいつもこっそりと聞いてることがあったっけな。

オレは気がつかないふりしてたんだけどよ。

そういや、いつだったかは

屋上でうたたねしてやがって・・・。

はは。

可愛いヤツだなって思ったこともあったっけ。

あんときに渡したピックをアイツは今も大事に持っていてくれてんだよな。

そして

2年生になって同じクラスになった時、

オレの元のクラスメートの男子に言われたんだっけな。

「針谷、小波と同じクラスなんだろう?」

「あ?あぁ、そうだけど?」

「なぁ、あいつの事、色々聞いてきてくれねーか?」

「なんでオレが?」

「な、頼むよ。」

「じ、自分で聞けよ!」

「そんなこと出来るくらいならおまえには頼まないよ!」

「はは~ん!おまえ さては?」

赤くなる元クラスメートの男子。

「な、なんだよ!頼むよ、な、針谷!」

「しょーがねーなぁ。オレ様に頼むとは高くつくぞ!」

「今度 超熟カレーパンおごるからさ!な!」

「ははは!ま、まかせろ!」

そんなことを頼まれ、オレはなんとなくアイツと話をするようになったんだ。

好きな食べ物、好きな色、好きなテレビ番組・・・。

一通り普通の質問をさりげなくして

変にばれないように オレも好きな食べ物やテレビのことなんかを話したりして・・・。

なんだか情報交換しちまったよな。

そんなある日 屋上で・・・。

その日は新緑がやけにまぶしい日だったよな・・・。

「なぁ、オマエさ、4組のやつなんだけど・・・。知ってるか?」

オレは何気なくアイツに好意を寄せるやつのことを聞いてみた。

「え?う~ん、たまにハリーのところに来る人でしょ?」

「そうそう!」

「顔と名前くらいは覚えたよ。」

「そかそか!」

「その人がどうかしたの?」

「いや、なんつーかさ、その~ どうかなぁ~ あいつって思って?」

「どうかな?って?」

「は?」

(もう本当にオマエの天然ボケぶりにはびっくりするよ。

やっぱ気づいてなかったのか。

ま、そうだろうとは思ったけどよ。)

「その人がなんかあるの?」

『ドキッ』

そんなきょとんとした目で見るなよ!

う、上目遣いはやめろ!

「い、いや・・・その・・・。そいつがさ、オマエのことをだな。」

「ん?」

「な、なんか好きみたいなんだけどさ、良かったらつき合わなねーかなーと思って・・・。」

屋上のてすりを握り

まぶしい校庭の木々を見つめながらぼそっとつぶやいた・・・つもりだった。

ふと横を見ると

アイツが今にも泣きそうな顔してたっけ。

「な、なんだよ?オ、オレ、なんか変なこと言ったか?」

「・・・。」

だ、黙るなよ!な、なんか言えよ!おい!

アイツの目が少し潤んで見えた。

「な、なんだよ?」

「・・・ハリーはそれでいいの?」

「は?」

「・・・。」

オ、オレ?オレはいいのかって?

べ、別にオレの友達が幸せになるんだったら・・・・って・・・。

『キーンコーンカーンコーン』

予鈴のチャイムがなる。

「昼休みおしまいだね。戻ろう。」

淋しそうにアイツは屋上から帰ろうとしたっけな。

「あっと!ちょっと待った!」

「え?」

「い、今のは無し!」

「無し?」

「い、いやさ、オマエの事好きだ~って言うヤツがいたらオマエどうすっかな?って思って

それで・・・その・・・。」

「え?なに?それ?ドッキリって事?」

「そ、そうなんだ、それ ドッキリだ! どう・・・だった?」

「もう!」

アイツはみるみる明るくなってった。

「はは、オレ様のドッキリはさすがに見抜けないだろう!」

「ひどーい!」

膨れるアイツの顔がやけに可愛く見えた。

オレは・・・もう友達がアイツのことを好きなのは本当だって言えなくなった。

そして

あの時のあの泣きそうなアイツの顔が胸に焼き付いて離れ無くなっちまった。

それからだ。

オレがアイツのこと意識し始めたのは。

いつの間にかアイツ姿ばかりを探すようになった。

教室にいても、廊下にいても、アイツの近くへと足が向いちまう。

当然、元クラスメートのヤツの協力は出来なくなった。

アイツには他に好きなやつがいるみてーだから無理そうだと

そいつに伝えちまったんだ。

はは。

アイツはあの時の事なんて覚えてねーだろーし

覚えてたとしても 本当にドッキリだと思ってんだろな。

あの時からオレはずっとアイツのことを・・・。


「お待たせ!」

急に後ろからオマエの声がしてドキッとする。

「あ、あぁ。」

「なに?」

驚いてるオレの顔を見てきょとんとするオマエ。

あの時、屋上で見せた顔とおんなじだ。

「べ、べつに!」

「なあに? なんかあったのぉ?」

だ、だから そうやって上目遣いで聞くなつーの!

「な、何もねーよ!ホラ!行くぞ!」

オレは慌ててそっぽを向いた。

「へんなハリー!」

前を歩くオレの手をさりげなく掴む。

「・・・離すなよ。」

「え? なんか言った?」

「別に!お、おっせーから早く歩けって言ったんだ!」

「もう!」

オマエの掴む手を少しだけぎゅっと力強く掴み返す。

夏休み・・・。

あの日屋上から見たまぶしい新緑と同じ緑の木々が

森林公園には続いていた。

「ねぇ、ねぇ、ハリー 今日は何処行く?何食べる?ねぇ!」

「うっせ~よ! 黙ってついてこい!」

「は~い!」






<出逢った頃の思い(ハリー編) 完>