ハリーの音色(ハリー編) | Sweet Sweet Love Story(恋愛小説&ときメモGS夢小説&詩)

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詩や恋愛小説とか書いてます。ときメモGSシリーズの夢小説・・・特にハリーこと針谷幸之進くんを中心に書いてます。
いくつになっても恋愛続行☆毎日ワクワク過ごすために☆

今回はハリーと出会った頃、まだ仲良くなる前の話を回想として書いてみました。

ではどうぞ~☆


ONEPIECEをめざして(ときメモGS2他夢小説版)-ハリーギター
ONEPIECEをめざして(ときメモGS2他夢小説版)-ハリー屋上


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公園入口。

待ち合わせ。

家族連れや、恋人同士が楽しそうに歩いてる。

へぇ、ギター弾いてる子がいる。

ハリーみたい。

公園の芝生でギターを奏でてる男の子。

その横に並ぶ女の子。

そっと頬を染めて、男の子を見つめてる。

まだつき合いだしたばかりの恋人同士かな?

そう言えば、最初にハリーに会った頃は

私もあんな感じだったのかな?




高校一年の春だった。

ハリーを初めて見たのは。

音楽室から聞こえてきたギターの音色と優しい歌声に

思わず足を止めた。

ハリーこと針谷幸之進。

同じ学年の男の子だった。


それから、私はあの音色が忘れられなくて

用もないのに、音楽室の周りをウロウロしたっけ。

だけど、そうそうあんな偶然には出会えず

いつも待ちぼうけばかりだった。

そんなある日。

放課後の屋上。

何気なく一人で上がってみたそこで

あの素敵なメロディに出会ったんだ。

「あ!」

屋上へ出る扉の前で私は思わずガッツポーズをした。

(ハリーだ! ハリーがいる!)

飛び出しそうになって思いとどまる。

あ・・・。でも姿を見られたら絶対にまた去られちゃうし・・・。

私はそっと扉から頭を出した。

姿は見えない。

ん? どこだろう?

一歩踏み出す。

ギターの音のする方へ そっとそっと近づく。

扉の影から屋上の端を見ると

海に向かってギターを鳴らすハリーの後ろ姿が見えた。

気持ちよさそうに風と共に歌うハリー。

そして奏でるギターは本当に優しい音がする。

私はしばらくそこにぼーっと立ったままハリーの歌声に聞き入っていた。

ふと、ハリーが振り向く。

(や・・やば・・・)

私は急いで扉の反対側の方へ行く。

するとまたギターの音が聞こえてきた。

ハリーとちょうど屋上出入り口の踊り場を挟んで反対側。

そうか こっち側なら大丈夫だ。

私は壁にもたれて座り込んだ。

いい声。いい音。

初夏の風が気持ちいい。

いつの間にかうとうとしていた。


ん?

気が付いたのは、太陽がだいぶ西に傾いた頃だった。

や・・やばい。 私いつの間に?

もう、帰らなきゃ。

目が覚めた時は、ギターの音色もハリーの声もやんでいた。

そっと立ち上がると パラリと何かが落ちた。

「あれ?」

寝ている私の体の上に何か乗っかっていたみたい。

風で飛んできた葉っぱか何かだろう?

私は落ちていった茶色の三角形の物を拾い上げた。

「え?」

これ・・・・・・・。

「ぴ・・・ピック?」

それはギターを弾く時に使うピックだった。

まさか?

私は辺りを見渡したけれど、もちろん、ハリーの姿どこにもなかった。

急いで階段を下り、教室からカバンを取ってきて下駄箱に向かう。

校門前には、部活を終えた学生たちが帰り道を急いでいた。

その先に、赤い髪にギターを背負った姿がある。

ハリー。

まだ、一度しか話したこともないのに・・・

覚えてさえいてくれるかもわからないのに 足早になる。

「針谷~」

呼ばれる声にハリーが振り返る。

あ・・・。なんとなく目が合った。

笑った?

笑ってくれた?

それも分かるか分からないかのうちに、ハリーは後ろから来た男の子たちに囲まれていく。

楽しそうに笑いながら歩くハリー。

やっぱり、人気者なんだな。

私は拾ったピックを握りしめた。

前を歩くハリーたちの後ろをもうしばらくこうして歩いていこう。

私もいつかあの仲間に入れたらいいな。

ハリーと一緒に笑えたらいいな。

西の空の夕日が大きくオレンジ色に光ってハリーの横顔を照らしていた。



『コツン』

「いたっ!」

頭を叩かれて振り向くとハリーが立っていた。

「な~にぼけ~と 見てんだよ?」

「もう、ハリー遅いよ!」

「わり~な。バンドの練習が伸びちまってよ。」

「ほら、あそこの男の子、ギター弾いてるんだ。で思わず見とれてた。」

「見とれてただと?」

「あ・・・いや・・ ちょっと見てただけ。」

「は?・・・ オレ意外のヤツに見とれてんじゃね~よ!」

「はいはい。」

「な! なんだよ! それ!」

「あ~ あの男の子は可愛いなぁ 優しそうだなぁ~」

「おい! ちょっと待てよ!」

クスクス。 慌ててるハリーを横目に歩き出す。

『キラッ』

私の胸に揺れるチェーンが夏の太陽に照らせて光る。

「待て!こら!」

ハリーに腕を捕まれた。

「へへ。」

舌を出す私の頭をくしゃくしゃされた。

ハリーの手が私の胸に光るチェーンを掴む。

チェーンの先にぶら下がる茶色の三角形。

裏返して いつもように小さく刻まれた文字をなぞる。

Thank you☆ by-harry





<ハリーの音色(ハリー編) 完>