いよいよ2014年も押し迫ってきた。
受験生の方々は、年明けの答練に向けて着々と準備を進めていると思う。



昨年の今頃の僕は、年内に仕上げようと決めていた範囲が終わらず、やたら焦って大晦日を迎えた。
元旦はうつろな気分でダウンタウンを見て過ごし、2日はユーザー車検のために一日かけてタイヤの整備をして、3日からまた勉強を再開した。
こんな正月はもう2度とごめんだと思いながら、暖房代を節約した寒い部屋で、震えながら書式を解いていたことを思い出す。






そんな生活からようやく抜け出せた今年は、研修とアルバイトに明け暮れて終わりそうだ。
お歳暮コールセンターの仕事は大晦日まである。
きっと31日は、注文したお節料理が届かないとか、違うものが届いたなんていう些細なクレームの対応で終わると思う。



一方、研修は東京会研修と中央新人研修前期が無事に終了した。
東京会研修では多くの同期合格者と知り合うことができ、大小各種の飲み会に誘っていただいた。
控えめな性格を押し隠し、がんばって名刺交換をさせていただいたが、本当にいろんなキャリアの合格者が多いと感じた。



補助者経験者が多いのはわかるとして、SE、司会者、MR、生命工学の研究者、大手企業の重役なんていう前職を持つ方々がいるのにはビックリ。
また現役の大学職員や金融マンなど、働きながら過酷な試験を突破した方々もいる。

もちろん、経歴もキャリアもバラバラだから、年齢も全然違う。
ハタチそこそこの若い合格者と机を並べて、40代50代60代の合格者が同じ研修を受けている。



一発合格なんていうツワモノがいるかと思えば、受験回数フタケタの苦労人もいる。
本試験終了後、指が震えて自己採点ができず、やむなく彼女に採点してもらったというエピソードの持ち主もいた。
その彼は合格後、彼女と入籍し、ようやく彼女の父親に認めてもらえたと言っていた。










そんなたくさんの出会いの中、自分と同年代の合格者がつぶやいた一言が、今年最高の名言だと思った。

彼は例年、本試験終了後から年内いっぱい、工場で働きながら生活費と学費を稼ぎ、年明けから答練を受講するという生活を送ってきた。
毎年毎年、工場で働いて受験を繰り返す日常に慣れてしまって、いつの間にか年齢を重ねていた。
いつしか友人とは疎遠になり、もちろん何年もの間、彼女もいない。
そんな生活から何とか抜け出したいと覚悟を決めて受験、ようやく今年合格できた。

合格後、縁あって司法書士事務所に就職し、今は先輩司法書士にくっ付いて、決済立ち会い業務や登記業務を学んでいる。

12月、都内のあるビルで決済があった。
そこは、かつて通っていた予備校が入ったビルだった。
その建物には、いつもGパンとリュックで通い、答練や模試のたびに打ちのめされて帰ってきた。
けれどその日はビジネスバッグにスーツ姿で、決済後、胸を張って建物から出てこられた。





彼からその話を聞いた僕は、その時どんなふうに感じたか聞いてみた。
すると彼は少し考えて、『人生がリセットされた気がしました』と言った。






いい言葉だ、本当に。
胸を張って前へ進めるしあわせ。
感謝しないといけないと感じた。