今回も去年見てまだ貼れてなかったレビューです。

今期の感想とか時事関係は

マストドンで。

 

 

バーニングオーシャン
 

2010年のメキシコ湾、

アメリカ籍の油田掘削施設で爆発事故が起きた実話の映画化。
 

実話なのでパニックムービーめいたシーンは事故時とか山場だけなのかと思ったら

ずっと大変ですごい。

こんな目に遭っててもし映画(実話)じゃなかったら主演が

「俺はハリウッドスターじゃねぇぞ!!」
くらい叫んでた。
 

モノが石油なので(不謹慎な言い方をすると)ド派手だし……、

もしかしてCGではない?と思わせる炎の演出がすごい。
石油交じりの泥水に浸った床を「炎が舐め」、
海面に浮いた原油は燃え盛って海が燃える。

「気仙沼!」と日本人は(もぉー!この景色もう見たァ!)と天を仰いでしまう。
 

劇中完全に人災なこともあり、
地球を利用しようとする小さな人間の行いを戒めるように、

暗闇に突き立つ鉄の塔が燃えて崩れ落ちる様(さま)はまるでバベルの塔。
 

しかし流出した原油の量聞くと

「こんな出てたらもうマイクロなんちゃら汚染とかしゃらくさいな、

日本や社会主義陣営が同じことやらかしたらあほほど叩かれて

責任追及してくるだろうな、アメリカ……」と思ってしまう。

イヤーこわいですね、石油メジャーって。

大体脱炭素って日本ぶっ叩くけど、

石炭はダメで石油はスルーな理由いまだにわからん。

こわいですね、石油メジャーって。

石油はないけど石炭はある!って「後進国」に猛然と追い上げられたり、

そういう国に日本の高効率な石炭火発売り込まれたら「困ります」もんね?

イヤー石炭メジャーって怖いナァ。

 

洋画なので思わず死者に対して生存者が神に祈る場面もあり、

しかしてその気持ちはわかる。

めぐる地球の力に、

人間のわずかな技術が及びおおせるはずがないのだ。

 

何かスピリチュアルな話とかおセンチメンタルなやつではなく、

シンプルに岩と水と熱塊の、宇宙にうかぶほどの塊という質量のはたらきに、

人間の手の届くことが何ほどであるという物理力である。

 

事故が起こったらずっと派手で大変なので、

アクション映画好きも大満足できるはず(不謹慎)。

そういう意味でもお勧めできる映画ですね。
 

ついでに言うと10年代のわりにはタイトルがちょっと古めかしく、

90年代感なのはこれひょっとして邦題なのだろうか……
さすがに今日びききませんね、バーニングなんとかって名詞……

でも、その時代を選ばなさが良い映画らしさかもしれません。
 

不謹慎な言い方しかしてませんが、こういう事件があったんですよと

知る意味でもちゃんとお勧めできます。

人は普通に怪我するし大変なことになるけど、

あまり仰々しく扱っていないのは実話なのもあるし令和の片鱗かも。

 

そう言えば操業しろ!って言う高圧的な社員に渋る作業責任者たちですが、
原因がわからない不調とかそこは安全第一やろがい!

と日本の企業だったらなりそうだけど実際はどうなんでしょうか……

 

なんやかんやいって東海村とか福島とかありますので

そこは変わらないとこもあるのかも。
起こるはずのない事故が起きた、で結んでる辺りもね……

 

日本が協力してモンゴルかどっかで油田開発してるはずなので、

企業体質とか国が他国と関わる事業とかでもまた誠実さが違ってきそう。

 

企業体質とは言うけど企業自体に人格がある訳じゃないので、
その企業である程度強い決定権とか勢力とか発言力、

空気を決める「誰か人間(たち)」が醸成してること(責任)も

見逃さないでいきたいですね……