ヤクシマダカラの産卵~孵化 | 今日の水槽警備員。

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2010/11にオカヤドカリ5匹の飼育を始めました。
備忘録も兼ねて日々の記録を淡々とつけてましたが、
現在はビーチコーミング記事がメインです。

我が家には海水水槽があってそこに磯の生き物を持ち帰って観察したりしているのですが、今回飼育歴1年ほどのヤクシマダカラが産卵したので記録として残してみます。

 

※ 密集している卵の写真を載せています。 集合体恐怖症の方は閲覧注意です。

 

三浦でヤクシマダカラの生体を見つけたのは初めてでした。

しかも2匹。

冬だったので、これから先の冷える季節は生き延びられないのでは…と思い、2匹とも連れ帰って我が家の水槽に仲間入りしました。

 

お迎えした時はまだ亜成貝だった三浦半島生まれのヤクシマダカラ(メス)。

数カ月ですっかり成貝の模様と形になり、だいぶ見た目が変わったなぁと思っていた中潮のある日、水面ギリギリのところに卵を産み始めました。

そういえば2匹いるけれど、産卵するとは予想外でびっくりです。

 

産卵シーンをアップにしてみました。産卵管?からもごもごと卵を出して産み付けています。

 

産み付けた後は口で卵の回りをまたもごもご。

保護する膜か、もしくは卵を固定させるための糊のようなものをつけているのかも。

 

産卵途中でもう1匹のヤクシマダカラ(オス)がやってきて、メスの方に吻を伸ばしていました。

交尾のような気もするのですが、タカラガイは産卵してから交尾するんでしょうか…?

 

その後もせっせと産卵を続け、2日目にはこんなに卵が増えていました。

この間メスは卵から動かず、オスも近くをうろうろしています。

 

7日目の様子。

あれからも産卵を続け、ここまで増えました。

卵は水面から出ているものもありますが、腹足でしっかりと全体を覆って乾燥を防いでいました。

 

産卵7日目の卵の様子をアップで動画撮影してみました。

卵嚢に入っている1つ1つの粒が確認できます。

 

 

9日目の様子。

少し卵の色が黒っぽくなってきました。

 

13日目の様子。

さらに卵が黒っぽくなってきました。

真ん中あたりに白っぽいままの卵がありますが、これは無精卵…?

 

13日目の卵をアップで撮影してみました。

黒っぽく見える点は目?だったんですね!

 

14日目の様子。

毎日様子を確認していましたが、これが孵化直前の写真です。

 

産卵14日目の卵の様子も動画撮影してみました。

卵嚢の中で幼生が泳ぎ回る姿が観察できます。

 

ちょっと目を離していたら、孵化が始まっていました。

メスは孵化の時も卵の上から離れず、ちょくちょく押し出すような動きをしていました。孵化を助けているのでしょうか。

 

卵嚢をアップで。しっかり覆われていたところから、一斉に幼生が飛び出しています。

 

孵化の様子も動画撮影してみました。

水槽中に孵化した幼生が舞ってすごいことに…!

 

水槽のフィルターを止めて様子を見ていましたが、タカラガイの幼生はプランクトンらしく、小さな水槽では育つことが難しいようです。

しばらく水槽内を漂っていましたが、少しずつ消えていって、その後ヤクシマダカラの幼貝大発生、とはなりませんでした。

 

2週間も守っていた卵が1匹も孵らないとは切ないですね…。

自然界だったら何匹くらい生き延びられたのかな…と、考えてしまいますが、そもそもあのまま三浦にいたらたぶん成貝にもなれなかったかな…。

 

孵化後の様子。

空になった卵嚢を口でちぎって剥がしていました。

そのままにしておかないのは、産卵場所の痕跡を残さないようにするためでしょうか。

 

上から下からせっせと卵嚢を剥がしていきます。

この後数時間後には産卵前のように綺麗な状態に戻っていました。

 

ちなみに産卵から孵化までの間、メスは何も食べずに健気に卵を守っていましたが、オスは最初だけ近くをうろうろしていたものの、後半は近くに来ることなく水槽のコケを食べたりのんびり過ごしていました。

 

タカラガイの性別は外見からは分かりませんが、この2個体はメスの方が体が大きいので、もしかしたらメスの方は産卵に備えて栄養をためられるように体が大きかったりするのかもしれません。

 

 

今回はタカラガイの産卵から孵化という貴重なものが観察できて良い体験ができました!

海で観察するだけでは見られない生態が見られるので海水水槽は楽しいですね。