般若心経 | 蓼食う虫も好き好き

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自分が何科のなんという虫かはわかりませんが、時々見つけた蓼を齧ってみたいと思います



   2月21日に亡くなった親父の遺品の整理をしたら、


   般若心経を認めたノートが何冊も出てきた


   
   写経をしていることは、わたしも御袋も妹も知っては居たのだが、


   あれだけの量を熟していたのは知らなかった



   写経をした日時まで克明に記されていたが、


   草木も眠る丑三つ時にもしばしばやっていたようだ


   そして、入院する数日前までそれは続いていた


   しっかりとした、几帳面な字を書く親父であったが、


   最後の方は流石に乱れがあった



   まだ整理しきれていないので、その全貌が明らかではないのだが、


   28年間に及ぶ癌との戦いの軌跡の一部であることは確かだ



   末期に近い頃のある日のそれの末尾に


   いずれ、われわれが観ることを見越してのことなのだろうが、


   『〇〇、〇〇、〇〇、有難う』とさり気なく記されてあった



   遺書らしきものは残さなかった親父の、われわれへの気持ちの


   それが、全てであったのだろうと思う




   

    わたしは、昨日これに2時間16分20秒付き合った