フランスの大女優アヌーク・エーメが、6月18日、パリの自宅で逝去しました。享年92。

 

1932年4月27日、パリ生まれ。

14歳の頃からダンスを習い、ルネ・シモンの演劇講座に通うなどします。そこでアンリ・カレフ監督に見出され、46年の『密会』で映画デビュー。その後彼女と仕事をした脚本家のジャック・プレヴェールが彼女のために現代版“ロミオとジュリエット”、49年の『火の接吻』を書き上げ、主演したアヌークはその美しさから注目を受けることになります。

 

 

57年ジェラール・フィリップと共演した『奥様ご用心』、58年、やはりジェラール・フィリップと共演した『モンパルナスの灯』では、フィリップ演じるモディリアーニの清楚な妻を演じ、注目されます。58年には、ハリウッド映画『旅』にも出演しています。

 

『甘い生活』、『81/2』とフェリーニの下、マルチェロ・マストロヤンニと共演しました。

 

1966年のクロード・ルルーシュ監督『男と女』では、亡き夫への思いに駆られながらも、激しい恋に落ちるヒロインを演じ、世界的な人気を博しました。アカデミー賞にもノミネートされ、ゴールデングローブ賞主演女優賞と英国アカデミー賞最優秀外国女優賞を受賞、ベルリン国際映画祭の名誉金熊賞も受賞しました。

 

 

1986年には、『男と女Ⅱ』、2019年には、『男と女 人生最良の日々』に出演しています。

 

他にも、『ソドムとゴモラ』『ローラ』などの名作に出演。フランスの名作に次々と出演したほか、スペイン、イタリア、ドイツ、米国、英国の映画にも出演、1947年から2019年に引退するまでのキャリアの中で、70作品に出演しました。  

 

マルコ・ベロッキオ監督の1980年の映画『ア・リープ・イン・ザ・ダーク』でカンヌ国際映画祭最優秀女優賞を受賞、2002年にはセザール賞の名誉賞を受賞しました。

 

 

 

 

大好きな女優さんでした。綺麗な人でした。子供の頃に、『男と女』を見て、なんて洒落た女優さんだろう、と思いました。それから、『ソドムとゴモラ』を見て、その美しさにノックアウトされました。スクリーンに、『火の接吻』の彼女の美しさはもの凄いと書いてあったので、DVDを借りて見ましたが、まさしくその文の通りでした。若かった彼女の美しさよ!『モンパルナスの灯』では、清楚な妻役でしたが、最後に画商にだまされて、なんとも気の毒でなりませんでした。

 

 

岸惠子さんと友達で、昔ふたりでドライブに出かけたところ、土手に綺麗な花が咲いていたので、車を降りて取ろうとしたそうなんです。そうしたら、若い警官が通りかかって、「マダム、そこは危ないです。車に戻ってください」と言われたので、仕方なしに車に戻ったそう。そうしたら、その警官が、花を取ってきて「マダムに」と言って渡してくれたそうなんです!フランスの警官って、なんて粋なんだろ、と感動しました。こんな美しいマダムがふたり揃っていたら、そうせずにはいられなかったかもしれませんね。

 

2年前に逝ったジャン=ルイ・トランティニヤンと、今は天国で再会して、懐かしい話をいっぱいしながら、ふたりでダバダバダ~って歌っているかもしれませんね。でも、淋しいです。

 

安らかにお休みください。