A BOUT DE SOUFFLE

1960年フランス映画 白黒 90分

監督 ジャン=リュック・ゴダール

出演 ジャン=ポール・ベルモンド ジーン・セバーグ ダニエル・ブーランジェ ジャン=ピエール・メルヴィル ジャン=リュック・ゴダール アンリ=ジャック・ユエ

 

マルセイユで車を盗んだミシェル・ポワカール(ジャン=ポール・ベルモンド)は、パトカーに追いかけられて。成り行きから警官を射殺してしまう。ミシェルは、パリに行き、アメリカ人のガールフレンド、パトリシア(ジーン・セバーグ)と再会し、気ままに楽しむ。一方、パトリシアは、ミシェルの愛が本物かどうか確かめるために、警察に通報。警察の捜査の手がミシェルに迫り……。

 

 

22年9月13日に逝去したゴダールの、最高傑作で、フランス、ヌーヴェル・ヴァーグの決定打と言わしめた作品です。商業的娯楽映画という概念をひっ繰り返し、これまでの映画文法や常識といったものまでもことごとくブチ壊した、映画史の分岐点とも言える記念碑的作品です。

 

ゆら~り、ゆら~りと生きるジャン=ポール・ベルモンドは、同年代のアラン・ドロンの美青年ぶりに全く敵うべくもないのですが、何故かどこか格好良い。彼のアナーキーな部分がとても生きているのです。

 

ジーン・セバーグは、おなじみセシルカットでお目見え。とても、綺麗です。

 

警官を殺してしまったジャン=ポール・ベルモンドは、しばしば新聞を買って、捜査がどうなっているか気にしています。遂に新聞に名前と大きな写真が載った時は、サングラスと帽子で顔を隠しますが、それでも切羽詰まった様子はないんですね。どこかに閉じこもることもなく、悠々とパリの街を歩いています。

 

ジーン・セバーグは、ジャン=ポール・ベルモンドの恋人なのですが、彼が自分を愛しているのか測りかねて、彼のいる場所を密告してしまいます。それでいて、ジャン=ポール・ベルモンドに「逃げて」と言います。このあたり、ジーン・セバーグの気持ちも測りかねます。そして、衝撃のラストへ……。

 

全体的に言えば、退廃的な映画です。でも、キャストの面白みがあります。作家役にジャン=ピエール・メルヴィル監督。密告する男に、ジャン=リュック・ゴダールが出ているのです。そして、パトリシアが向かったジャン=ピエール・メルヴィル監督のインタビューが面白い。「不幸な愛はない。幸福な愛もない」「不老不死になって死ぬこと」を人生最大の野心と挙げているのです。なんとお洒落なんでしょう。また、ルノワールのダンヴェール嬢のポスターを、家のどこに貼るのか、とあっちこっちに持って行っているのもお洒落。だって、あのダンヴェール嬢ですよ。

 

正直なところ、ちょっと難しい映画です。誰にもでも合う映画でもありません。でも、ヌーヴェル・ヴァーグの決定打と言わせただけのことはあります。

 

生きている間に、是非一度見ておきたい映画です。

 

トレーラーです。