オーストリア人俳優のヘルムート・バーガーがザルツブルクで18日に逝去しました。享年78。

 

ヘルムート・バーガーといえば、なんといってもルキノ・ビスコンティ。ビスコンティ監督の後期の3作『地獄に堕ちた勇者ども』『ルートヴィヒ/神々の黄昏』『家族の肖像』に出演し、その退廃的な美しさで人気を博しました。

 

44年オーストリア生まれ。学生時代にローマで映画のエキストラとして働いていたヘルムート・バーガーは、ビスコンティ監督に見いだされ、67年にオムニバス映画『華やかな魔女たち』でスクリーンデビューを飾ります。

 

 

 

その後、69年のビスコンティ監督作『地獄に堕ちた勇者ども』、70年のビットリオ・デ・シーカ監督作『悲しみの青春』などに出演。74年には、エリザベス・テイラー主演作『別離』でハリウッド映画に初出演しました。

 

ビスコンティといえば、ヘルムート・バーガーと言われるようになり、美男子の代表格として、世界を席巻。ビスコンティの歴史大作72年の『ルートヴィヒ/神々の黄昏』では、バイエルン王ルートヴィヒ2世役で抜群の存在感を見せました。 

 

 

ビスコンティ監督の最後の恋人としても知られており、ビスコンティの死去後はイタリアやフランスのテレビドラマなどに出演、1990年にフランシス・フォード・コッポラ監督の『ゴッドファーザー PART III』にも出演しました。2007年のベルリン国際映画祭で、LGBTやクィアをテーマにした映画に与えられるテディ賞で、ヘルムート・バーガーの過去の功績に対し特別賞を贈られました。  2019年11月に体調不良を理由に引退を宣言していました。

 

ヘルムート・バーガーを言いあらわす言葉は、絶対「美形」だと思っています。単なるハンサムとか、イケメンとか、そんな言葉を使ってはいけない。彼はとにかく美しい青年でした。特に、『ルートヴィヒ/神々の黄昏』では、誠に美しく、さらにそこに美しい従姉のエリザベート役でロミー・シュナイダーが登場して、まったくもって美しいふたりでした。

 

でもやっぱり、ビスコンティあってのヘルムート・バーガーだったのか、ビスコンティ亡き後は、輝きを失っていきました。それでも、TVドラマ『ダイナスティ』に出てきたときは、ちょっと嬉しかったですね。

 

常に脳裏に浮かぶのはあの美しかった姿。永遠の美青年像です。

 

安らかにお休みください。