ジェーン・ドゥさんの80年代青春シネマを語ろう、に参加させて頂きます。
1983年のアメリカ映画です。監督は、フランシス・フォード・コッポラ。音楽は、父親のカーマイン・コッポラが担当しており、抒情たっぷりの音楽を聴かせてくれます。主題歌「ステイ・ゴールド」を歌うのは、スティービー・ワンダーです。
公開当時ものすごく人気があって、映画雑誌のファン投票では圧倒的1位。さらにこの映画から、ブラッドパックと呼ばれた青春スターが山のように輩出されました。ことに、ダラスを演じたマット・ディロンの人気はすさまじかったです。
オクラホマ州タルサ。この町で暮らす貧しいグリースと山の手のお金持ちの子息ソッシュは対立するグループで、会えば喧嘩の繰り返し。グリースの一員ポニーボーイは詩が好きな繊細な少年。両親を亡くし、二人の兄ダリーとソーダポップと暮らしていました。彼らの仲間は、向こう見ずなダラス、おとなしいジョニー、剽軽なトゥービットに、ソーダポップの親友スティーブ。ポニーは両グループの喧嘩を必ずしも肯定していたわけではないのですが、ある日ソッシュに襲われ、彼を助けようとした親友のジョニーと共に事件の渦中に・・・。
ストーリーは『ウエスト・サイド物語』でも扱われたグループ対立です。喧嘩シーンも出てきますが、基本は友情と兄弟愛。青春映画で、青春の心の痛みや心の純粋さが描かれていて、胸が切なくなります。特にポニーボーイが夕陽を眺めているシーンに、「ステイゴールド」が流れてくると、自然と涙が溢れます。この映画を見た頃は、等身大で彼らを見られる年頃でしたから、懐かしさなどかけらもなく、彼らの痛みが自分のことのように感じられて感情移入したものでした。何がそこまで心に響いたのか、と今問われると明確な答えが出来ないのですが、理屈ではない、フィーリングでずっぽりはまってしまったのでした。繊細だったのでしょうね(笑)。ロードショー、2番館、3番館と何回見に行ったことか。テープレコーダーも持参して、セリフと「ステイゴールド」を録音したものでした。
キャストは今から見れば綺羅星のごとく。80年代の『荒野の七人』みたいです(笑)。言い過ぎかな…。主人公ポニーボーイ役のトーマス・ハウエルは『E.T.』に出たばかりというところでまだ無名の若手(というより少年)でした。マット・ディロンはそこそこ売れ始めた頃で、ダイアン・レインは『リトル・ロマンス』でブレイクしてから段々大人の女優への道を歩き始めていた頃でした。レイフ・ギャレットなんて懐かしい名前も出ています。
他の面々はこの作品で飛躍しましたね。ポニーの親友ジョニー役のラルフ・マッチオは『ベスト・キッド』がヒットしました。主人公ポニーボーイのお兄さんソーダポップ役だったロブ・ロウはあの甘いマスクで一躍スターに。いささか挫折もあったけれど、今は大人の俳優として落ち着いていますね。『ホワイトハウス』や『ブラザーズ&シスターズ』で、素敵な年の取り方をしたところを見せてくれています。ポニーボーイの長兄役のパトリック・スウェイズはこの中ではずっと年上でさすがに落ち着きを見せていました。その後は年齢相応の役も多くなって、『ゴースト』では人気を博しました。しかし、2009年に57歳で癌で逝去。あの時は、カーティス家の兄貴が……とショックだったものです。トゥービット役エミリオ・エステベスも面白いキャラクターでスターに。今は監督業にも乗り出しています。ご存じ、マーティン・シーンの息子さんですね。ブラッドパックの親分格と言われていました。仲間の中では一番冴えなかった(失礼!)スティーブ役のトム・クルーズがいかにスター街道を登ったかは皆さんご存じの通り。私の一番のお気に入りは、ハンサムNO1、役名も素敵なソーダポップ役ロブ・ロウでした!
仲間が一番大切なもの。タフでクールなことが格好良かった頃。自分の心は他にあっても敢えて仲間達に合わさざるを得なかった日々。世の偏見を知ってしまって後戻り出来なくなった頃。自分の意志に反する流れにどうにも逆らえなかったその時。青春の痛みと悲しみがビンビン心に響き、「ステイゴールド」を聞くとパブロフの犬状態でホロリと涙が出てくる、思い出の一本です。
トレイラーです。