『花子とアン』感想文その4 思いっきりツッコミます! | 銀幕と緑のピッチとインクの匂い

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映画は洋画、それも古い映画が大好き。本は外国文学。ドラマは洋物。サッカーは海外チームと代表の応援、という思いっきり偏った嗜好で、天の邪鬼に感想を語ります。但し、脱線話題多し。

 ご機嫌よう。

 『花子とアン』は、色々な意味で面白いドラマでした。
 アンを愛するからこその、つっこみ集です。

・出演者が年を取らない!
 花子と朝市と醍醐さん、武が同い年。英治さんは多分上。兄やんも上。かよちゃんは少し下。ももちゃんは7~8歳ぐらい下。蓮様は、花子より8歳上。ところが、この人たち、時が流れても、ほとんど年を取りません。最終回で、花子たちは60歳過ぎ。蓮様に至っては、70歳ぐらい。でも、若い!蓮様がどんなに白髪になっても、顔や皮膚が若いんですよね。

 これは日本人だけに限ったことではありません。スコット先生が、アンの本を持ってきた時も既に60歳過ぎ。ブラックバーン校長に至っては、80歳にはなっていたと思うのです。でも、この人たちも年を取らない!皆さんのあまりの若さに、時の流れの遅さを感じるドラマでした。

・はなの着物
 女学校に給費生として入学したはなは、質素を越えたかなり貧しい身なりで生活することになります。お金持ちのお嬢様たちの、きらびやかな着物の中で、はなだけが田舎にいた時と同じ貧しい身なりのままです。

 が!吉高さんのはなが登場したら、どうでしょう!皆さんと同じように大きなおりぼんをつけて、質素ではありますが、皆さんと同じ衣装になっています。故郷に帰るお金さえないはなは、このお着物をどうやって手に入れたのでしょう!?お父には、とても買うお金はないでしょう。心優しい醍醐さんが譲ってくれたにしては、地味すぎる着物。どこから来たのか、非常に気になります。

・タイムワープは9月に起きる
 半年間という短いスパンゆえ仕方ないと言えば仕方ないのですが、このドラマは、時々、何年もワープします。それから○年と最初にナレーションがつくのですが、ワープの仕方は激しいのに、登場人物の見てくれが変わらないから、激しく混乱します。これをSFに出てくるワープと言います(勿論、冗談です)。

 で、このワープ、何故か秋、それも9月に起きることが多かったのです。関東大震災があったのでその時代の9月に変化があったことは仕方ないのですが、それからも何故か9月が多い。9月はきっとワープが起きやすい月なのですね。

・安東家の人たちの顔色
 差別で書くわけではありませんが、安東家の人たちの顔は何故か汚れています。日中、畑仕事で汚れているのはよーくわかります。ただ、終わったら、顔や手ぐらい洗いますよね?何故、あそこまで黒くなるの?

 一節には、あれは煤けているのだというものがあります。確かに、家のど真ん中に大きな囲炉裏があります。

 さらには、川が遠くて、顔を洗いに行けない説もありました。真相はどうなのでしょう。

・何故、ドミンゴに集まるのか?
 はなの出版社の人は勿論、あらゆる人たちが、かよちゃんが働いているカフェドミンゴに現れます。遂には、お仕事で尾行している兄やんもやってきます。武や朝市も、上京して、(何故か偶然に)ドミンゴにやってきます。銀座にはカフェが沢山あると思うのですが、皆ドミンゴの魅力にとりつかれて離れられません。

 蓮様に至っては、世紀の駆け落ちを、何とドミンゴでやってのけます。人目を忍ぶ筈の駆け落ちを、何故かよちゃんはじめ、知り合いが行きつけのドミンゴで、正々堂々と行うのでしょう!?これは、理解し難かったことです。

・はなの就職面接
 はなは、女学校を出てから梶原編集長の出版社で働こうと思っていましたが、結局故郷に帰って先生になります。しかし、はなは、一度も故郷に帰って、就職活動を行いませんでした。ただ朝市に頼んで、先生の職を取って貰ったのです。いくら、その小学校の卒業生でも、そんなに簡単に先生になれるの?面接ぐらいしないのでしょうか?さらには、あんな小さな小学校に、一度に2人も空いたポジションがあったのでしょうか。就職難の今、羨ましい話です。

・醍醐さんのドレス
 女学校を出てからの醍醐さんは、職業婦人として働くのですが、すっかり洋装に変わります。例の大きなリボンは健在ですが、とっかえひっかえ、当時の素敵な洋装に身を包んで登場します。いくら働いているとは言っても、当時の洋装は高価(特にあんなドレスは)だったと思うし、あんなに沢山買えるものでしょうか。

 はい、醍醐さんの実家はお金持ちなんですね。でも、ちょっと待って。醍醐さんは、お医者さんとの婚約を解消したために、親の怒りをかい、自立しなければならなくなったのではなかったでしたっけ?どうも、怒りがとけて、自宅から通勤し、さらには親の援助を受けているみたいですね。その後も、はなのところに居候したり、醍醐さんは実家に出たり入ったりしていたのでしょうか。どこに住んでいたのか、謎です。

・かよちゃんへのプロポーズ
 村岡印刷の弟、郁也さんは、9月1日のお昼にかよちゃんにプロポーズするために、カフェドミンゴにミニ楽団を呼びます。彼らの演奏のもとに、跪いてかよちゃんにプロポーズするのです。でも、ちょっと待った!そこで演奏される曲が、「魅惑のワルツ」。ゲーリー・クーパーとオードリー・ヘプバーンの共演作『昼下がりの情事』のテーマ音楽です。てっ、1923年ですよ!?どうも、この曲のオリジナルは、30年代にあったらしいのですが、それとて10年以上もあとのことですよ。何で、この曲?あり得ない!

・武の呼び名
 甲府の地主の息子武。小学校時代から、はなのことを一応苛める存在ではありましたが、いじめっ子というには、物足りない存在。長じてから、すっかり朝市の仲良しになりました。しかしねえ、いくら同級生といえど、武は地主の息子で、はなたちは、小作の子供なのです。しかし!はなも朝市も、年下のかよちゃんさえも、彼のことを呼ぶときには「武!」。え?いいのでしょうか。さらに、武は年上とはいえ、兄やんを呼ぶときには、「吉太郎さん」なんですよね?はなたちに馬鹿にされ、地主の息子なのに、何故か尊敬されることのなかった武に、幸あれ!

・ももちゃん、帰る
 北海道で旦那さんを亡くして、一人苦労してきたももちゃんの話には、思わず涙しました。はなの家に来て、水道やガス、冷蔵庫まで見た時のももちゃんの心境を考えると、胸が痛みます。しかし!食べるものにまで事欠いていた生活の中で、ももちゃんは東京までの旅費をどうしたのでしょう!?北海道から東京までの旅費はかなりかかるはずです。結婚式の時は、旅費を英治さんが出してくれたと言っていましたが、今度はどうやって?はなたちは、誰もももちゃんの現在を知らないのですから、旅費を送れるわけがないのです。どこぞやの親切な人が、きっと旅費を払ってくれたのでしょうね?


 ああ、疲れました。この辺にしておきましょう。皆さんが気づいたツッコミどころを、是非教えて下さい。

 長い連載に付き合って頂いて、ありがとうございました。

 御機嫌よう。さようなら。


           もう続かないよ、さすがに終わり