$銀幕と緑のピッチとインクの匂い


 アメリカの女優ジュリー・ハリスが亡くなりました。享年87。

1954年の『エデンの東』でジェームズ・ディーンとその兄の間で心揺れるヒロインを演じました。関係ないけれど、アブラという名前が、衝撃的でした。

 1963年のロバート・ワイズ監督の映画『たたり』も、私には衝撃的な映画でした。古い屋敷にやってきた何人かのひとり。決して派手な女優さんではなく、いえ寧ろ映画女優としては地味な方だと思いますが、『たたり』での演技は、演技力なくしては演じられなかったものだと思います。

 『嵐の中の青春』『動く標的』『さすらいの航海』そして、失礼ながら失念しておりましたが、『愛は霧のかなたに』にも出演していたのですね。

 私が忘れらない作品は、73年の『刑事コロンボ』のエピソード「別れのワイン」です。ドナルド・プレザンス演じるワイン商の秘書役。これもまた地味な役でした。ところが、完全犯罪を目論んだドナルド・プレザンスに……。コロンボの数あるエピソードのうちでも、傑作と言われる一本です。このふたりの名優なくしては、得られることがなかった賞賛ではないかと思います。

 ブロードウェイで活躍した方で、トニー賞を5回も受賞したそうです。文句なしの名女優でした。
 
 安らかにお眠り下さい。


 
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