『奥さまは魔女』 | 銀幕と緑のピッチとインクの匂い

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映画は洋画、それも古い映画が大好き。本は外国文学。ドラマは洋物。サッカーは海外チームと代表の応援、という思いっきり偏った嗜好で、天の邪鬼に感想を語ります。但し、脱線話題多し。



「奥さまの名前はサマンサ
 そして 旦那さまの名前はダーリン
 ごく普通のふたりは、ごく普通の恋をし、
 ごく普通の結婚をしました
 でも、ただひとつ違っていたのは
 何と奥さまは魔女だったのです」

 あのオープニングのセリフが懐かしい大ヒットドラマです。1964年から72年まで放映されました。子供の頃から何度も再放映されてきた作品です。それだけ、日本でも人気が高いのでしょうね。

 あけぼの通りに住むダーリンとサマンサの新婚夫妻。ラブラブなふたりでしたが、何と奥さまは魔女だったというわけです。サマンサがピクピクと鼻を動かすだけで、物は動き、お食事もお掃除も模様替えも全部出来上がり。羨ましかったですねえ。この能力は、年を取るほどに、羨ましくなります(笑)。子供の頃は、瞬間移動や空を飛ぶのが羨ましかったのにねえ。

 サマンサが魔女だということはダーリン以外は知らないこと。しかし、魔女と暮らしていると色々と不可思議なことが起こるわけです。ダーリンの勤める広告会社のボス、ラリーとルイーズ夫妻や、お向かいのアブナーとグラディスのクラビッツ夫妻などは、サマンサに振り回されっぱなし。特に覗き見が趣味のグラディスに至っては、サマンサの家の変な光景を見ては、いつも大騒ぎ。30分の短い時間に沢山の笑いが散りばめられたシチュエーションコメディです。

 私は、サマンサの母親で、強力な魔女のエンドラが好きでしたね。派手な化粧に派手な衣装。サマンサが人間と結婚したのが気に入らず、毒舌ばかり。暇さえあればサマンサの家に現れて、ダーリンに意地悪したり、問題を起こしまくります。この人なくしては、このドラマは成立しません。演じるのがアグネス・ムーアヘッドだということもあるでしょう。『ショウ・ボート』や『西部開拓史』などの脇役で良い味を出してきた女優さんです。

 あと、お年を召して魔力が弱ってしまって、とんでもないところに出没し、半端な魔法ばかり使うクララおばさまや、のちに登場するタバサちゃん、可愛いですね。

 最初の放映当時は、サマンサの家のインテリアやキッチン、電化製品などに、日本人は憧れたと聞きました。1950年代から続くアメリカ中流家庭のホームドラマに、魔女というファンタジー要素を加えたことで、より楽しめる作品にしたことがヒットの秘密かもしれませんね。

 美女でキュートなサマンサ役はエリザベス・モンゴメリー。この人なくしては、このドラマはヒットしなかったでしょうね。惜しくも、95年に62歳の若さでこの世を去っています。

 ダーリン役はディック・ヨーク。病気で69年に降板し、ディック・サージェントに交代しています。ディック・ヨークも病気で92年にこの世を去っています。

 素敵なアメリカの生活を見られる楽しいドラマ。時が経っても尚、視聴者を惹きつける魅力にあふれているドラマです。



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