追悼　リカルド・モンタルバン

　リカルド・モンタルバンが１月１４日に逝去しました。享年８８歳。

　歌って踊って、美女を守る為に闘うエキゾチックな美男子であり、西部劇の名脇役であり、そして宇宙の帝王であった人でした。

　メキシコシティに生まれ、カリフォルニアの高校に進学。卒業後はニューヨークで舞台に立っていましたが、母親の病気でメキシコに戻り、そのままメキシコ映画でデビューする、というなかなか波瀾万丈な経歴の持ち主です。メキシコでの活躍を見たハリウッドからお呼びがかかり、『闘牛の女王』でハリウッドデビュー。

　私としてはその後に出演した『水着の女王』で、エスター・ウィリアムズと歌って踊って、水中レビューまでしていた姿に仰天しました。すみません。私の頭の中ではやっぱり彼は、カーンだったのでした。

　その後も、『戦場』『ミズーリ横断』『君知るや南の国』『サヨナラ』などに出演。６０年代以降は、『母の旅路』『歌え！ドミニク』『スイート・チャリティ』などに加え、『血と怒りの河』『デザーター』などの西部劇でも活躍。一方で、ＴＶドラマにも出演し、『スター・トレック』で演じたカーン役はシリーズ最大の敵役となり、８２年の映画第２作『スター・トレック２／カーンの逆襲』へとつながります。トレッキーならず、映画ファン、ドラマファンに‘カーン＝リカルド・モンタルバン’を印象づけたことは間違いないでしょう。

　　映画では、『新・猿の惑星』『猿の惑星・征服』『大列車強盗』などに出演。一方で、ＴＶでも『刑事コロンボ／闘牛士の栄光』にゲスト出演し、７８年から始まった『ファンタジー・アイランド』では主演し、こちらも人気を博しました。

　　近年では、『裸の銃（ガン）を持つ男』や、『スパイキッズ２　失われた夢の島』ではグランパを演じていました。

　　若い頃はラテンムードいっぱいの色男。少々お年を召してからも、ＳＦや西部劇で抜群の存在感を示して、俳優として上手に年を取っていった俳優さんだと思います。でも、しつこいけれど、私にはやっぱりカーンかな。簡単に悪役なんて言葉では片づけられない、愛妻マーラへの思いや、優性人種（だったかな？）故の優越感と征服意欲？なんかが満載の、何とも複雑な人でした。だから、言わせて頂きます。カーンよ、どうぞ安らかに。宇宙の平和を見守ってください。