長久手の人質立てこもり事件、何とか無事に解決しました。でも、いくつもの悲劇を起こしてしまいました。

 長久手は、詳しくとまでは言えないですが、知っている土地です。子供の頃は、そこにある青少年公園に遊びに行ったこともあるし、まあ当時はバスの便しかなかったので、ちょっと不便な土地という印象もありました。でも、今はすっかり新興住宅地であり、大学も移転してきていて、静かな文教地区という印象があるようです。そんな見知った土地での事件というのは、やっぱり関心の度合いも違うものですね。


 今回、一番ショッキングだったのは警察の犠牲者が出たことでしょう。防弾チョッキのほんのわずかな隙間を撃たれて若い命を散らした方は、もうお気の毒としか言いようがありません。警察学校での成績が大変優秀で、SATに入ったとのこと。将来の期待の星だったのでしょう。あまりに若く、残された家族のことを考えても、言葉が出てきません。そして、最初に駆けつけて撃たれた警官。負傷したまま、5時間も地面に横たわっている姿が中継に映し出されて、もうただひたすら助けてあげて!と思った視聴者も多かったでしょう。何ともショッキングな光景でした。ご本人の辛さは如何ばかりだったか。負傷の痛みも大変酷いものだったでしょうし、少しでも動けばいつまた銃撃されるかわからない。犯人から丸見えの場所で横たわっているしかないストレスは、もう言語に絶するものだったと思います。そして、それを見ていなければならなかった彼のご家族や知人の方も、それこそ気が狂うような思いだったのではないでしょうか……。


 警官は仲間意識が強いと聞きますから、身内の警官が撃たれて動けない、助けにも行けないことに、平静でいられた警察関係者は誰もいなかったでしょう。それにも関わらず、何故そんなに長い間放置せねばならなかったのか。素人考えでは、装甲車を乗り付けて弾よけにして、警官を助けてあげれば良いのに、とか、映画みたいに催涙弾を打ち込んで、煙でムワムワにしてその隙に警官を助け、突入するとか出来ないのだろうか、とつい考えてしまうのですが、その場所や状況を知りもしない私の独り言でしかありませんね。沢山のその道のプロがいたのですから、何が良いかは良く分かっているはず。でも、何故出来なかったのか、をもう少ししっかりと説明しないと国民の理解を得られないと思います。この世の中、いつ何時どんな災難が降りかかるかわからない。その時、自分も負傷したまま長時間放置されるんだろうか、と、不安に思った人も多いでしょうから。


 犯人がどういう意図でこのような事件を起こしてしまったのか、本当のところはわかりません。でも、メディアでも言われている通り、平和だった日本が、いつの間にかじわじわと銃社会に移行しつつあることを象徴するかのような事件でした。ごく平和に暮らしている住宅街の、隣の家に実は銃があるかもしれない。考えるだけで怖くなります。銃は遠くからでも人を殺めることが可能な武器ゆえに、今度のような悲劇が起きてしまいました。今どれぐらい日本社会に銃が出回っているのか、徹底的に調べて欲しいものです。


 重傷の警官さんには、後遺症が残るかもしれないという話も聞きました。一日も早い無事な回復を祈りたいと思います。そして、悲しくも殉職された方には、心からご冥福をお祈りします。彼が力を注ごうとした平和な社会が、少しでも早く帰ってきますように。