君、死にたまふことなかれ | 銀幕と緑のピッチとインクの匂い

銀幕と緑のピッチとインクの匂い

映画は洋画、それも古い映画が大好き。本は外国文学。ドラマは洋物。サッカーは海外チームと代表の応援、という思いっきり偏った嗜好で、天の邪鬼に感想を語ります。但し、脱線話題多し。

 今、教育現場が大きく揺れています。後を絶たないいじめでの自殺。そして、教師にも広がるパワハラ、未履修問題での自殺。


 そんな中で、文部科学省に自殺を示唆する手紙が送られてきて、大きな問題になっています。差し出し人は、学齢期の少年。いじめられているので11日に学校で自殺する、という旨の手紙。クラスメート、教師、親、クラスメートの親、教育委員会など、手紙の宛先を細かく分けているのに驚きました。差し出し人は誰なのか。文体や内容から考えると、多分中学生以上だと思いますが…。


 いじめられるのは辛いですよね。大抵が、集団で一人をいじめる形。子供の世界は学校と家の往復ですから、一日の多くの時間を過ごす学校で一度いじめの対象となってしまったら、後は地獄でしょう。


 私も学校時代、多くのいじめを見てきました。私の時代でも、いじめは既に大きな問題になっていて、クラスでいじめる、無視する、という行為は全然珍しくありませんでした。そのいじめ方もかなり陰湿で、席替えの時に誰がその子の隣になるかで大騒ぎになって、くじ引きをしていくのですが、その子の隣を引き当てなかったということだけで、みんなから喝采を受けるのです。見ていて心が痛くなる光景。本人はどんな気持ちだったのか、と思います。でも、「こんなことやめようよ」と大きな声では言えなかった悔いが今も私の胸に残っています。だって、そんなことを言ったら、次は私がいじめの標的にならないとも限らないから。


 いじめられる子にはタイプがあると言いますが、最近は結構真面目なリーダータイプがいじめられるようになってきたとのこと。でも、それって昔からあったことですよ。現に席替えの件でいじめられていたのは、真面目で成績も良くてしっかり者の女の子でした。ちょっと一言多いと言えば多かったけれど、実は私は彼女のことは結構好きだったのです。本が好きみたいで、自由時間にはよく一人で本を読んでいるのを見て、「何を読んでいるの」と聞いたのがきっかけで、結局仲良くなりました。多数の子が嫌っているからと言って、誰もがその子と気が合わないわけではないのです。


 今、いじめられて悩んでいる子。今は声をかけられないけれど、誰か貴方のことを見ていてくれる子がいるかもしれない。その子が明日は声をかけてくれて、仲良くなれるかもしれない。


 いじめを見て見ぬ振りをしている子。いじめをやめろとまでは言えなくても、そっといじめられている子に声を掛けることで、何かがほんのちょっとだけ、そう1ミリだけ進んでいくかもしれない。次には他の子が、その子に声を掛けて、その次の日にはまた他の子が声を掛けて、段々友達の輪が広がっていくかもしれない。


 今はどんなに辛くても、たとえ学校に行けなくても勉強はどこでも出来ます。そのうち良いことがあるかもしれない。思わぬ友達が出来るかもしれない。好きなスポーツチームが今シーズンは優勝するかもしれない。好きなアイドル歌手のコンサートが、貴方の家の近くで開催されて行けるかもしれない。引っ越してしまった仲良しだった友達が、連絡をくれるかもしれない。宝くじが当たって、何でも好きな物が買って貰えるかもしれない。好きな漫画家の連載が始まるかもしれない。明日お客様が来て、もの凄く美味しいケーキをお土産にくれるかもしれない。


 だから、もうちょっとのんびりした気分になって、人生を楽しんでみましょう。せっかくこの世に生を受けたのですから。「神様はドアをお閉めになっても、必ずどこかの窓を開けておいて下さる」のですよ。